|
親愛なるアナベル・ガトー少佐、
あの日から、・・・幾年が過ぎたことでしょう。
地球から遠ざかる旅の果てにたどり着いた地は、やはり遠い場所でした。
地球でもコロニーでも月でも要塞でもモビルスーツに乗っていても、太陽が輝いてて当たり前でした。
それが見えないというのは、・・・・・・・・・宇宙暮らしが長い人間ですら落ちつかない気分にさせます。
我々は、このままここで朽ち果てていくのではないか、と。
地球圏に帰れる、・・・そう聞いた時は小躍りしたくなりました。
ソロモンの海がもう一度この目で見られる。あの海で、あなたの冥福を祈ることができる。
それだけで・・・・・・・・・。
しかしやっと戻れたこの場所は、魑魅魍魎が跋扈する闇の宇宙でした。
ティターンズ、エゥーゴ、そしてアクシズ。これらを三大勢力というようです。
あっちに付いたりこっちに付いたり・・・。大義がそう変わるものでしょうか?
ハマーン・カーン様の元、戦いに奮迅する日々。『ザビ家の再興』を旗頭に。
・・・ですが、・・・・・・・・・ですが、あなたが目指していたものは、それだけではなかったと思っています。
真に、我々スペースノイドの自由を、解放を、願っていたのだと。
私も年を取り、今では茨の園にいた者たちのまとめ役のような責任も負っています。
最近、不満が漏れ聞こえてきて。
アクシズのお偉方の耳に入らぬよう気をつけていますが、・・・いつまでもつか。
敢えて考えないようにしてきましたが、心を決めなければならない時はそう先ではないでしょう。
・・・・・・・・・違うのです。
失礼な物言いですが、ただ一人の女を神のように崇め付き従う。
・・・その心酔する姿に違和感を覚えてしまうのです。
あなたと共に過ごせた黄金の日々。それを忘れえぬ我々には・・・。
迷った時、自分の心にではなく、いつもあなたに問い掛けてしまいます。
あなたのことを思い、あなたならどう考えただろう、あなたらどう動いただろう、あなたなら・・・・・・・・・。
こんな私を頼りないと笑ってらっしゃいますか。
ですが、あなたに恥じることのない日々を送れているかと、
あなたの思いを誰かに繋げられただろうかと、
これからさきずっと誰かが繋げていってくれるだろうかと、
それを考えると私は、切ないほど苦しくなるのです。
・・・そろそろ出撃になりました。それでは、・・・いってきます!少佐殿。
|
|
Ensign Karius, |
|