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0083/10/22 天気、晴れ

 せっかくコウが独房から出て来たんだから、コウと一緒にいられると思ったのにさあ!!
 俺は、あいかわらず双眼鏡で外を眺めているっきりだ。ええと、昨日からアフリカ大陸の上に入ったけど、風景が大海原から一面のサバンナに変わっただけのこと。・・・こんなんでガトーなんか見つかりっこねぇよ!とにかく、俺はちょっとがっかりしている。それは何故か???
 俺はやることないのに、コウはコウのくせにコアファイターでの哨戒任務、とかいう実にそれっぽい仕事が有るからなのだった!ちなみに、これはコウが出てくるまではアデル少尉とベイト中尉が交代でやっていた。どっちみち俺は混ぜてもらえないんだ、ちぇ、別にいい。へたっぴだからな。(これは、ベイト中尉が俺を呼ぶ呼び方。)
 それで、コウは自分の機体だっつーのに一週間乗れなかったガンダムに慣れるのに必死で、ぜんぜん俺と遊んで・・・じゃなかった、俺につきあってくれない。ニナさんやモーラさんと話ばっかしている。おーい。俺もいまーす。・・・ともかく、ちょっとコウが元気でたっぽいのは良かった。
 ・・・良く無いのは、モンシア中尉だ!!
 この人は、独房から出て来たばっかだっていうのに、もう、騒ぎしか起こさない人だと俺にはようやく分かって来た。ああもう。とにかく、特に整備兵の人たちとかと、すぐに喧嘩するんだ、いっつもお酒飲んでるし。あー、こんなことなら、モンシア中尉だけはずっと独房に入っていてくれれば良かった!!
 暇なのが良く無いのかなあ、とつくづく思う。でも、ガトー見つからないしなあ。コウも、忙しそうだしなあ。・・・・つまんないなあ。
 夕飯だけはコウといっしょに食った。ニナさんとモーラさんも一緒だったけど。話題はモビルスーツのことばっか!!!・・・・うーん。ま、いいや。コウが楽しそうだからな。俺ってつくづく、いい友達だなあと自分で思う。くそ、でも今日は寝てやる。それで、明日の休憩時間には、コウをアルビオン中引きずり回してやるんだ・・・厨房の裏手で余分におやつ貰う方法とか教えてやる。うっ。欠食児童っぽいな、俺・・・。

0083/10/21 天気、晴れ


 今日俺は上機嫌でこの日記を書いている!それは何故か!!?
 ・・・・夕食前、遂にコウが独房から出ても良くなったからだ!!!・・・・・・やった!もちろん俺は、これでもう1人だけバニング大尉に叱られたり、ベイト中尉やアデル少尉にイジメられなくても良くなると思って喜んでコウを迎えに行った!!・・・・その時、ちょうと半舷休息で俺は休みで、双眼鏡を覗かなくても良くなっていたからだ!!!・・・・いや、だからいつも言ってるけど別にコウがいなくて寂しかったとかそういうわけじゃない。
 それで、コウを迎えに行ったら当然だけど隣の独房のモンシア中尉も独房を出る時間で、モンシア中尉と来たらおもいっきりイヤミったらしくこう言うんだ、「おめぇらがめちゃくちゃホモなのは分かった!かー、使えねぇ野郎共だぜ、こんなのが同じ艦のパイロットかぁ!?」
 ・・・・もう、モンシア中尉のこの台詞も聞き飽きた。だから、俺は適当に返事をすると、コウに「ガンダム見に行くか?」って聞いた。コウは「うん」って、ちょっと元気はまだなかったけど、独房を出られてほっとしたみたいだった・・・だって、モンシア中尉は凄く音痴なのに、ずっと隣の独房で歌を歌ってばかりいたんだ。これじゃ元気もなくなる。
 俺とコウは、夕食の前にシナプス艦長に会いにブリッジに行って、それから格納庫にガンダムを見に行った。・・・コウは、晴れてシナプス艦長と会ったわけだった。なにしろあっという間に独房に放り込まれて、会ってなかったんだ、コウ。シナプス艦長は、ちょっとコウを見て頷いて、「あまり世話はかけんように、バニング君にもな」と言った。「はい」とコウは答えた。艦長がそのあと笑ったので俺はびっくりした、そんな艦長は見た事無かったからだ。
 ああそう、ガンダムはブリッジのオペレーターのピーター・スコット軍曹も誘っていっしょに見に行った。スコットは、同い年なんだ、俺とコウと。・・・それに、背も俺より低い。で、ガンダムを見たら、コウはすこし元気が出たみたいだった。俺は、整備をしているニナさんとモーラさんに手を振ってみたが、二人も笑って手を振ってくれた。・・・ニナさんはいい女だけど、俺はもう諦めた。だって、ガンダムばかなんだあの人。ある意味、コウと同じ。
 それから三人で、食堂で御飯を食べた。俺はそのまま休憩だったけど、コウはさっそくバニング大尉に呼び出されていた・・・軍隊ってのは過酷だ。特に、出動中のペガサス級ともなると。
 とにかく、俺はもう寝る。・・・あー、コウが出て来て良かった。明日からは、きっと楽しいだろうなあ。

0083/10/20 天気、晴れ


 俺は、なんだか毎日目が痛くなって来た。ええと、まず毎日天気がいい。インド洋を抜けて、アフリカに向かう海の上には、天気が悪い日というのは無いらしい。そのうえ、毎日やる事と言ったら、モビルスーツに乗るわけでもなく双眼鏡で下の海を眺めてるっきりなんだ。・・・ハッキリ言って飽きる。
 明日には、アフリカ大陸に辿り着くらしいからほっとしてるんだけど。
 重力下の海の上でモビルスーツに乗れないのは分かるが、実はこんなに長くモビルスーツに乗らないのも久しぶりなんだと俺は気付いた。だから、訓練と言うか、パイロットのミーティングもだらけまくっている。バニング大尉はまだ足にギプスがはまったままだから、あまり俺の指導とかも出来なくて、ベイト中尉とアデル少尉が俺の面倒を見てくれる・・・が、微妙にいじめられている気がする。やってることといったら腕立て伏せばっかだ、これ、訓練ですか、ベイト中尉、アデル少尉。ちなみに、ベイト中尉はくだけてるけどちょっとひょうひょうとしたところのある大きな人で、鼻で笑われると悲しくなる。アデル少尉に至っては、あまり俺をからかわない分尚更ワカラナイ。というか、何考えてるのかワカラナイ人というのがそもそも恐い。・・・ああああ、なんで俺が1人でこんな目に!?アルビオンに乗りたいって言ったのは、コウなんだぞ!?
 ともかく、モビルスーツに乗れないパイロットはとても間抜けな人種だと俺は気付いた。ちょっとなんかあると、整備兵の人とかと騒ぎが起こる、些細な事で。俺は巻き込まれたく無いから、とにかく逃げている。
 あ、そういえば、今日クジラを見た。窓から双眼鏡で海を眺めていた時にだ。それが、今の俺の主な仕事なんだ。生まれて初めて見たので、思わず通りかかったモーラさんに『クジラだぜ!』と感動して言ったら笑われた。
 ・・・・なんでこの艦には、俺より大きい人間ばっかり乗ってるんだ?それで俺は、絶対ブリッジのスコット軍曹と仲良くなってやろうと心に決めた。理由→俺より小さいから!
 ところで、明日の夕方やっとコウが独房から出てくる!やったー!コウに会いに行ったら、さすがにコウも嬉しそうだった。やだよなあ、こんな狭い部屋。一生懸命おぼえたアルビオンの内部構造を、お前が迷子にならないように教えてやるよ。だから、早く出てこーい!・・・いや、こんなこと書いてると本当に俺、コウの事好きみたいだな。そうじゃないんだけどさ!・・・でも出てこいって!!早く!

0083/10/19 天気、晴れ

 相変わらず、アルビオンは海の上だ。残留ミノフスキー粒子を追い掛けてガトーを追跡しているらしいが、なんていうか・・・・妙にのんびりしている。軍としては、多分暇すぎる。
 ところで、一昨日俺が格納庫から追い出された話は書いたけど、どうやら今日は俺が他のパイロットとは違う事が分かって貰えて、中に入れて貰えた。モーラさんに熱くキャノンの美しさを語ったのがポイントらしい。・・・・それで、俺はまだ一度も動かした事のない自分のジムキャノンをやっと近くでしみじみ見る事が出来た。
 ・・・・ああ、俺のジムキャノン!言っては何だが、俺だってコウ程じゃないにせよ、モビルスーツは好きだ。だからパイロットになったんだ。モビルスーツ隊ってのは、数機のモビルスーツで編成を組んで戦う。ジオンはどうだったか知らないが。名物パイロットがめちゃくちゃ多いところを見ると、そういう編成にはなってないのかもしれない。ともかく、俺の機体はジムキヤノン。キャノンタイプは、隊のなかでも後方支援をするように役割が決まっている。つまり、コウが乗ってるガンダムみたいな機体が切り込んでゆくのを、後ろから援護するんだ。俺の他に、アルビオンでこのキャノンタイプに乗っているのはアデル少尉だ。で、切り込み担当のジムカスタムに乗っているのがベイト中尉とモンシア中尉。
 アルビオンに乗って一番良かったことは、この機体が貰えた事だと思う。何しろ、トリントンじゃザクばっか乗ってたから。中古の。ともかく、俺がジムキャノンに見愡れていると、整備班長のモーラが声をかけて来た。「・・・楽しいかい」って。それで、俺は答えた。「ああ、これでコウの援護をするんだ」って。そうしたら、モーラさんはその返事が気に入ったらしくて、なんだかOSの調整をしていたニナのところまでわざわざ行って、なにか話していた。・・・・なんだろう、俺がコウのところにいくと、いつも『ホモかよ!』ってバカにするモンシア中尉と同じ内容だったらどうしよう。
 それで、俺はそそくさと格納庫を出た。今日も、休息時間のうちにコウのところに顔をだして、それから寝よう。いや、これはもう、日課だから。

0083/10/18 天気、晴れ


 今日、俺はアルビオンのなかの大冒険をしてみた。いや、何しろ隙だから。やってることっていったら、下に広がる海を眺めてるだけなんだし。でも、一応奪われた二号機を探すっていう、重要な任務らしい。
 それで、今日は昼間に休息時間が回って来たので、昨日追い出された格納庫以外の細かいところを回った。下の方の、機銃とかの方まで。・・・・ううん、何でこんな事をするのかって言うと、それは一応、コウの為だ。コウは、前しか見ていないので本当によく迷子になる。だから、コウが独房から出て来ても迷子にならないように。それで、俺が色々見て回っていると、なんだかアルビオンっていうのはちょっとでかすぎるんじゃないかという気になってきた。・・・なにしろ、空いている部屋がたくさんあるんだ!これは、後で理由をバニング大尉に聞いて分かった。今、アルビオンには200人くらいの人間が乗っているが、それは最大乗員じゃ無いんだそうだ。・・・・確かにな。この船は、もともとジャブローからテスト機をはこんでトリントンにやって来たのであって、急に戦闘状態になるなんて考えても居なかったはずだ、誰も。だから、最大に兵士も武器も乗っていない。・・・・補給艦ってくるのかなあ?200人ぶんの食事とか、毎日作っていて、二号機見つかる前に食料が底をつかないか?
 そう、たまたま通りかかったバニング大尉に言ったら、俺は思いきり松葉づえで殴られた。・・・・痛いです・・・・「ひよっこ、そんな心配している暇があったら、部屋に戻ってジムキャノンのマニュアルでも読んでおけ!」・・・・だってさ。はーい。
 それで、俺はコウのところに寄って、モンシア中尉がうるさく音痴な歌をがなりたてる中、俺はもう随分アルビオンの中を覚えたぞ、と自慢した。コウは、相変わらずちょっと元気が無い。ちなみに、モンシア中尉の「がああああ、うざってぇぞこのホモ野郎どもが!」という悪口にはもうなれた。そういや、今日はベイト中尉とアデル少尉がここに来たらしい。良かったですね、モンシア中尉!俺のおかげですよ!・・・とは、言えなかったが。
 うーん、本当は、格納庫にジムキャノンを見に行きたいんだけど・・・明日、また行ってみよう。

0083/10/17 天気、晴れ


 今日、俺はなんと格納庫から追い出された!くっそ、ばかでかいモーラさんめ・・・!ええと、理由はとんでもない事に俺のせいじゃ無い。なんていうか、整備兵の人がみんなしてパイロットの事を嫌いなんだ。凄い事に気付いてしまった。・・・なんでだ!!??
 と、思ったが、よくよく考えるとモンシア中尉とかが柄が悪いからだと思う。そりゃあ、俺だって女の人は好きだから、声とかかけたりするし、整備兵には女の人が多いから、ちょっと格納庫にいったらいい気持ちになれるかも・・・とは思った。・・・・ともかくだ。俺はモンシア中尉ほどむちゃくちゃに女を口説きまくったりしない!・・・から、モビルスーツ近くで見せて!と思ったけどダメらしい。モーラさん曰く、「出撃する時以外様が無いんだからとっとと出てきな!整備はちゃんとやっとくよ!」・・・だそうだ。ああ、おっかねぇ。
 モーラさんというのは、一年戦争の頃からの筋金入りの整備兵らしい。軍人としても大先輩だ。しかしなあ。俺は見たいのに、俺のジムキャノン!これは、この船に乗って俺に支給された機体だ。
 ともかく、自分の機体にすら近寄れないので、俺はちょっととぼとぼコウのところに行った・・・そうしたら、コウの方がしょんぼり独房で座ってたんで、俺は頑張らなきゃと思った。いや、コウは俺が守らないと!・・・いや、違った。そうだ、なんか本でも差し入れしてやろう。たしか、アルビオンにには図書室もあった。・・・エロ本のディスクは無いみたいだったけど。いや、そもそも、あんまりそういうの見ないんだよなあ、コウのやつと来たら。だから、ホモとか言われんだぞ???
 そうして、コウのところに行ったら案の定モンシア中尉が声をかけて来た。「よお、ホモ!今日も大変だな!そのお坊っちゃんはお前に会えなくて泣いてたぜ!」・・・・俺は、いい加減あんたみたいな人がいるから俺が格納庫に入れてもらえなくなるんだ!と叫ぼうかと思ったが、それはやめた。で、「ベイト中尉とアデル少尉にモンシア中尉が暇そうでした、と言っておきました」とだけ伝えた。・・・・それでも、モンシア中尉はなぁんだとぉー!?余計な事しやがって!と、怒っていたが。
 あー、ジムキャノンを見れなかったのはショックだった。ショックだから、もう寝る。うーん、早くコウ、出て来ないかなあ・・・・。

0083/10/16 天気、晴れ


 今日、俺は1人で隙だったんで、しょうがないからコウの独房まで散歩に行ってみた。コウの独房は3番房で、隣の4番房にはモンシア中尉が入っている。
 あー、しかし、なんだってこの俺までペガサス級の戦艦になんか乗る事になっちゃったんだろう!!
 アルビオンと言う船は、ペガサス級だから、とにかくでかい。乗り組み員も二百人くらいいる。それで、独房は一番下の方の層にある。パイロットの居住区とはだいぶ離れている。俺は、昨日1人で随分歩き回ってみたが、食堂とか、ラウンジとか、とにかく大きい。MS用デッキも二つ。
 それで、独房まで歩いて行って、コウに声をかけた。『ひまか?』って。・・・そしたら、コウのやつ『別に』だって。・・・・めっちゃ暗くってさ!そうなんだ。昔っからそうなんだ、コウって。士官学校の頃から。何か失敗すると、とりとめも無く暗くてさ。
 だから、俺がアルビオンの中を歩き回った話とか、シナプス艦長本人に会った話とか・・・(なんでって、コウはまだモニタ−越しにしか艦長と話した事が無かったからだ) ・・・・いろいろ話していたら、隣の独房からモンシア中尉の怒鳴り声と、壁を蹴る音が聞こえて来た。
 曰く、『てめーらホモか!?ああああああ、ちょっと離れてたくらいでうっとおしい!』・・・だってさ。
 ・・・んなわきゃねーだろ!!!俺は、文句を言ってやりたくなったが、上官なのでやめておいた。きっと、モンシア中尉はベイト中尉やアデル少尉が来ないから、隙なんだろう。・・・・見かけたら、モンシア中尉がさみしそうでした、と言ってやろう。ああ、俺っていいやつ。
 ともかく、俺がコウのところに来たのは、隙だったからで、別にそれ以上の意味は無い!!!
 でも、はやく、独房から出て来ないかなあ、コウ・・・・。ヒマだよ。ほんと。

0083/10/15 天気、晴れ


 ・・・・おとといと昨日が最悪だったから、あれ以上最悪のことなんて全く無いと思っていたのに、やっぱり今日の俺も最悪だったんだ!!!
 まず、俺は今アルビオンに乗っている。アルビオンっていったらアルビオンだ。強襲揚陸艦。・・・本当なら、こんな船には乗らなくて済むはずだった・・・・だって、俺はテストパイロットだ!テストパイロットっていうのは、新機種のMSのテスト飛行とか実験とかをする為にいるわけだ!だから、戦地のど真ん中に一番に切り込む事になる強襲揚陸艦になんか、本来乗る必要はない!!
 じゃ、何故乗っているのか?・・・・理由を説明しよう。・・・またコウのせいだ!!!
 まず、昨日の昼過ぎ。目が覚めたんで、バニング大尉をお見舞いにいこうとコウを誘った。ちなみに、宿舎は壊れちゃってたんで、そこらにあったテントで雑魚寝してたんだ。コウは相変わらず異常に寝相がよかった・・・・それはともかく。
 バニング大尉をお見舞いに行ったら、新しく補充されたと言うパイロットが基地に来ていたんだ。ええと、アルファ・A ・ベイト中尉と、ベルナルド・モンシア中尉と、チャップ・アデル少尉。この人たちは、一年戦争の時にバニング大尉と一緒に『不死身の第4小隊』って呼ばれてた小隊の出身らしい・・・・それもともかく。
 その、タタキ上げのベテランパイロットの人たちが俺とコウを、『士官学校出たての少尉』ってバカにして、だからガンダム試作二号機とか捕まえられなかったんだ・・・・とか言ったんだ、そしたら売り言葉に買い言葉!!!コウが切れちゃって!
 おかげで、ガンダム一号機を勝手に持ち出して、コロニーの残骸の中で模擬戦を始めちゃったんだ・・・勝った方が、一号機のパイロットだとかいって、その三人のベテランの中のモンシア中尉っていうのと!!!そりゃあ大変だった。バニング大尉はギプスはめたままめちゃくちゃ怒った。きっと、アルビオンのシナプス艦長も怒ってたと思う。そのうえ、それになんだかたまたまコウが勝っちまったんで、コウは『ガンダム試作二号機奪還作戦』に志願して、アルビオンに乗る事になっちまったんだ!!!
 ・・・・しょうがないから、俺も志願した。だってコウは、MS無断使用の罪でアルビオンの独房に入れられちゃったし、このまま俺だけ基地に残っても、コウに会えなくなるし・・・・・いやっ。
 そんな事は別に寂しくは無い!ただ、コウは俺が居なきゃダメだから、とにかくついててやんなきゃって思っただけ!
 とにかく、今俺はアルビオンに乗っている・・・・ああ。敵地のど真ん中にいって、俺、生き残れるかなあ・・・・・。

0083/10/14 天気、晴れ


 今日の俺は、昨日の比じゃ無くほんっとうにめちゃくちゃサイアクだった!
 ところで、この日記は10/14の朝8時に書いている・・・・なんでそんな時間に日記を書くのかって!!??その理由はこれから話す。とてもたくさんの事があって、とっても日記をかかずには居られないような気持ちなんだ。
 まず昨日の夜、俺はコウと一緒にまたアルビオンにガンダムを見にいった・・・・・コウったらほんとにMSが好きだ、子供かっていうの、お前は!それで、ニナさんに怒鳴られながらともかくガンダムを見ていたら、なんだか見慣れない男が格納庫に入って来た・・・・なんか、大尉の制服を着てるけど髪の毛とか長くて、本当にみたことないんだ。・・・・そうしたら!その男が、急にガンダム試作二号機を奪って逃げちゃって!!!
 それで、やめりゃあいいのにコウのばかったら、試作一号機に乗ってそいつを追いかけて出て行っちまったんだ!!!
 それが、後で分かったんだけどジオンの『アナベル・ガトー』だった・・・・ソロモンの悪夢、って一年戦争の時呼ばれていた、あの男だ。ちなみに、六月に受けた士官学校の卒業試験にもこの男は出て来た。それくらい有名な男だってことだ!!生きてたんだ!俺は思わず、現代戦史の教科書を余すところ無く思い出してしまった・・・・ええと、ドズル・ザビとか。赤い彗星とか、白狼とか、深紅の稲妻ジョニー・ライデンとか、それからアムロ・レイ、連邦の白い悪魔とか。ああ、こんなに一年戦争のこと覚えてるなんて、俺ってばすっごく勉強熱心だったみたいだな!
 それで、ともかく俺は初めて実戦に出る事になった・・・・コウも一緒だ。最初は、カークスやアレン中尉も一緒だった・・・でも、この二人は途中で死んでしまった。
 ・・・・・戦死だ。
 俺は、士官学校とか出たけど、まさか自分や、周りの人間が戦争で死ぬなんてちょっと思って無かった。・・・だから今、めちゃくちゃショックだ。でも、カークスやアレン中尉は二度と戻って来ない。
 それで、結局追いかけて行ったアナベル・ガトーは、逃がしてしまった。捕まえられなかったんだ。おまけに、よくよく考えたら徹夜だ。
 俺も疲れたけど、コウはもっと疲れて、悔しいみたいだった。・・・・バニング大尉も怪我をした。
 なんとかトリントン基地に戻って来たのがついさっき。それで、俺はこうやって日記を書いてみているわけだ・・・。ああ。
 疲れたから、ちょっと寝る。トリントンは、夜が明けてみると昨日までとは全く違う場所みたいになってしまっていた。いろんなところから煙りがあがったままだし、俺やコウの宿舎もぶっ壊れちゃってるし、基地司令のマーネリ准将も戦死したっていうし。
 とにかく、寝る。休息に入っていいみたいだ。あー。起きたらこれが、全部夢で、みんないつも通りで生きてたらいいのに・・・・・。

0083/10/13 天気、晴れ


 ・・・・今日の俺と来たら、本当にサイアクだった!
 ちなみに、この日記は夕食後に書いている・・・・実はこう見えて、俺はわりとマメだ・・・コウみたいな何も分かって無い人間と親友やってるくらいだから、いろいろ細かい人間なんだ、実は俺。でないと、コウが困っちまうだろう?あいつときたら、いつも迷子みたいな人間だからさ!帰ってくるところとか、分かってない気がするんだ・・・・あ、なんか、コウが「もう一回ガンダム見に行こうぜー!」とか、ドアの外で叫んでる。ムシしてやろう。
 ・・・・ああ、なんでこんなにコウのことばっかり書いてるんだ?・・・そうだ、今日は『コウのせいでも』ひどい目にあったのだった。
 まず、ひどかった事その1>俺は今日の訓練中に、コロニーの残骸の中におもいっきりザクをはめてしまった・・・おかげで、腕立て伏せ100回だ!・・・・冗談じゃねぇよ!
 それから、ペガサス級の七番艦だという『アルビオン』という強襲揚陸艦がこのトリントン基地に来たので、それを俺とコウは見に行った。・・・・コウがどうしても見たいっていうからさ。そうしたら、すっごい美人がいたんだ、名前はニナ・パープルトン。アナハイムの技術者だということだった。・・・ここでひどかった事その2。
 ひどかった事その2>俺がニナ・パープルトンとかいう美人を口説いている間、コウと来たらガンダムの事しか頭に無かった!おまけに、基地の食堂でもその女性のプライドを傷つけるような事を言うから、おもいっきりナンパしそこねた。・・・それから、ニナさんの友達とかいう、めちゃくちゃでっかいモーラとかいう技術士官がおっかなくってさあ!
 ・・・・それで、ともかく、今日の俺にはあまりいいところが無かった。出来たら、夜くらいは、しっかり寝たいもんだ・・・と、思ったけど、なんかコウがドア叩いていたよな?・・・・しょうがない、行くか。
 何はともあれ、ニナさんのことは惜しかった。・・・ああ、あのきっつい性格さえなければめっちゃイイ女なのに。こういう時、俺はいつもこう考えて我慢する事にしている・・・・「あの女は確かに口説けなかった。んがっ、良く考えてみろ・・・・・・・コウの方が美人かもしれない!」
 ・・・・空しいな、こんな俺の人生・・・・ともかく、もう一回コウとアルビオンにガンダムを見に行く事になりそうだ。じゃ、出掛けよう。コウの面倒は俺が見てやらないと、ほんと、しょうがないからさ。あーあ。






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