変わらないよ と俺が言うと
 変わるわよ と彼女が言う
 やっぱり変わらないよ と俺が言うと
 きっと変わるわよ と彼女が言う
 彼女は言い続ける
 彼女「達」は言い続ける
 いつもいつも信じているのは女で
 信じてないのは男だ
 俺は馬鹿らしくなって
 ある時ついに言ってやった
 変わるわよ と女が言い続けているけど
 戦っているのは男ばかりじゃないかと
 そうしたら彼女「達」は大勢で
 それはもうけたたましく俺を指差して笑うのだ
 一体どれだけの彼女「達」が
 俺の中に潜り込んで来たというのだろう
 変わらないよ と俺が言うと
 変わるわよ と彼女が言う
 やっぱり変わらないよ と俺が言うと
 きっと変わるわよ と彼女が言う
 彼女は言い続ける
 彼女「達」は言い続ける
 だからだから俺は戦うのをついにやめた
 だって彼女「達」が言うのだ
 だから男は馬鹿なのよ と
 馬鹿らしいのはこっちの方だ
 彼女「達」は信じている
 俺には信じられないものを信じている
 男には信じられないものを信じている
 だとしたら俺は
 それを分かっている俺は
 分かってしまう俺は
 これ以上戦うわけになんかいかないじゃないか



 なのに戦うことを止められない ふたり が いて



 ……だから俺は心を閉ざしている












2008.10.20.




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