+ 地図 +





小さい頃に見たサイド3の1バンチの地図は
縦横がまっすぐな長方形のものだった。

大きくなって見た地球のそれは
大地と海が入り組んで
複雑な地形をしていた。

もっと大きくなって見た地球圏の地図は、
・・・いや地図ではなく宇宙図は、
太陽と地球と月とコロニーとがめぐる
立体の美しい模型だった。



地図の世界が大きくなるほど
自分の知ってる世界は
小さくなって。

でも胸が躍った。
広い宇宙に
いつか行ってみたいと。



士官学校で見た地図は
色分けがされていた。
ジオンの力が及ぶ範囲と連邦の側と
両方が混ざってる区域と
どちらの影響力も小さい区域に。

この垣根を取り払うために
我々は学んでいるのだ。

ちっぽけな地球が
この広い宇宙の大半を
支配しているのは許されるべきことか。

・・・否(いな)。





時は流れて
ソロモンと名付けられた要塞は
コンペイトウと名を変えた。

しかし星の屑作戦の計画書では
ソロモンの表記のままである。

アナベル・ガトーは
印刷されたその字を
懐かしそうに指でなぞる。

憧れの宇宙は
現実となったが、
地球の色に塗られたままである。

後に続く者の敷石にしかならなくても
この色を塗り変えるために。

一緒に学んだ者に
一緒に戦った者に
恥じることのないよう。



(全身全霊をかけて)



彼はソロモンの海を駆けていく・・・。














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