+ 大きい女 +
物心をついた時には、もう人より大きかった気がする・・・。
幼稚園の頃に小学校の二・三年生かな?と聞かれたり、
小学生になると今度は中学生に見られたり。
それはそれでなんだか嬉しかった。
お姉さん扱いされてるようで。
でも、親に
すぐ大きくなるから服がもったいない。
安物でいいよね。
と言われ、
同級生の男の子に
それでも女かよ。
と見上げられ、
いつの頃からか猫背で下を見て歩く様になった。
そんな自分がイヤだったから
敢えて男の世界を仕事場に選んだ。
男と対等にやっていける。
ううん、それ以上にやってみせる。
・・・そしてこれが正解だったと思う。
この世界は私に合っていたのだ。
仕事に対する自信が
固まった心を溶かしてくれた。
別に男と張り合う必要もない。
やるべきことをやっていればいい。
私は一年戦争も生き延びて
穏やかな日常に満足していた。
こんな自分が好きだけれど
それでも時々寂しく思う。
だって男はかわいい女が好きだよね。
金髪で青い目で
自分より背が低い
そういう女が。
メガネの新米少尉さんに
『私の手が離せないほど好きなら・・・』
って言ってしまったのも、
金髪で青い目で
自分より背が低い
かわいい女が好きそうに見えたから。
・・・でもね、
なんだかいつもと違う感じ。
「モーラさんってすっげーかっこいいよ。」
アルビオンの格納庫で
部下たちに指示を出している私。
いつもの普通の私。
・・・ほんと?
男はかわいい女が好きだけど、
そうじゃない男もいる、って。
そう思ってみてもいいかな。
ヒールのある靴でデート。
そんなこともできるかな。
・・・・・・・・・こんな大きな私でも。
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