+ 賭け +
・・・バクチを打つには元手が必要なんだよ。
リリー・マルレーンの外壁には
無数の細かいキズが付いていた。
近寄って見なければわからない程度のものだが、
この船のリーダーたるシーマ・ガラハウには
気になってしょうがない。
しかし直すにもカネがいる。
正式な軍でなく
補給ルートも限りがあり
信用も低いとあっては
気軽にドックに入れるわけにはいかない。
・・・イラつく。
時折、
シーマに差し伸べられることもある手は
その裏に何を隠しているのだろう。
三年、我慢してきた。
三年、頑張ってきた。
俗に男の世界と言われる軍隊もどきの組織の中で
荒くれの奴らを率いて
この宇宙を生き抜いてきた。
戻る世界のない憐れな者ども。
・・・いや私とて同じか。
(もう限界さ・・・ね。)
差し伸べられる手のどれかを
選んで生きる時が来たのだ。
だが頭を下げたくはない。
そんなことをするぐらいなら、
三年前ジオンに見捨てられた時に
死んだ方がましだった。
(こんなボロ船にしがみ付いているよりも!)
引き下がれないなら、
胸を張って生き抜いてやる。
卑怯者と呼ばれようとも。
(私が生きる理由は私だけが知ってればいいのさ!!!)
高く売りつける方法を考えよう。
でっかい手土産がいるな。
差し伸べられる手を
握ってやるには。
・・・・・・ ・・・バクチを打つには元手が必要なんだよ。
(さぁ、始まる。)
一世一大の大芝居がね。
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