+ エリート +
アリスタイド・ヒューズ大尉はブリッジが嫌いだった。
・・・いや正確には、ブリッジにいる奴らが嫌いだった。
エリートの集団だと思っているからだ。
砲術長という責任ある立場にいながらも
艦長の声を直に聞くこともない。
命令はオペレーターを通して伝えられる。
組織としてはそれで当然なのだが
そこに壁を感じるのは否めない。
略奪されたガンダム試作2号機を追って
宇宙に上がったというのに
新米少尉は
ちんたら訓練を繰り返しているだけ。
士官学校を出ただけの
実戦経験のない
子供のような顔した少尉が。
俺なんか伍長から叩き上げて20年。
やっと大尉になったというに。
この年では、大尉のままで退職だな。
いまさら幹部候補生学校ってわけにもいかんし
この態度じゃそもそも推薦もしてもらえん。
(おまけに肝心のフッドXIIは・・・、)
HLVを打ちもらした。
主砲なんてのは、
時代遅れの遺物になっちまった。
それでも居場所は軍の中にしかないのだ。
射撃指揮所にこもってタバコのひとつも吹かすしかないさ・・・。
それでも命は彼らに預けるしかなかった。
ブリッジにいるのとモビルスーツに乗ってる奴らに。
(奴らより先に一発ぶち込んでやるぜ。)
それぐらいの気概は持ってもいいだろう。
ただの砲術屋でもな。
アリスタイド・ヒューズ大尉はブリッジが嫌いだった。
だが、男の体臭にまみれ
タバコの煙りがただよい
サイコロ博打で遊んでも
仕事に対する誇りを忘れない部下と
この指揮所を、
何よりも愛していた。
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