+ 一杯のコーヒー +





リヒターのドム・トロのスラスターがイカれたらしい。

・・・パーツはまだあったろうか。



戦争が終わって三年。

それでもキンバライトなんて僻地に居座って抵抗を続けてるが、
整備兵の仕事なんて大してありゃしない。

10機にも満たないドム・トローペンやザクの命を
少しでも長く延ばすために
錆びつかない程度に動かすだけ。

それでも精密機械であるモビルスーツは
どこかしこと不具合が現れて、
満足な補給もない俺達にできることといえば、
壊れたモビルスーツから
使えそうなパーツをもぎ取っては
何とか使えるようにもっていくことだ。



ズズ・・・と一息いれてコーヒーを飲む。

満足な補給もない俺達にこれだけは許された贅沢。
コーヒー豆だけは、けっこう手に入るのさ。
キンバライトがコーヒーの名産地だから
飲みすぎて胃が痛くなるほどに。





ああ・・・、
そういえばソロモンに居た頃も
よくコーヒーを飲んだな。

ドズルブレンドなんてあったが、
あれはコロニー産の豆だったんだよなぁ・・・。
地球産なんて高くて高くて
飲んだことなかった気がする。

って、ことは、今飲んでるコレは
最高に贅沢ってわけか。





・・・・・・・・・俺には、わかんねぇ。

味なんて、わかんねぇ。

どっちが高級品かなんてさっぱりわかんねぇ。





でも、俺が、飲みたいのは、

ソロモンの、あの、コーヒーだ。





(帰りてぇ。)



もう一度、宇宙に。














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