0078.11.11.






・・・・・・・・・あの人は時々、そういう顔をした。










0078年10月、『国家総動員令』が発令され、

戦争に突入するのだ、という空気が、サイド3全体を被っていた。



誰しもが戦争に対する懸念や一般的な嫌悪感を持つ一方で、

長年の経済制裁がもたらした閉息感を打破するには、もはや、

戦争しか道がないのだ、

という、虐げられる側にとっては、ある種真っ当な感情もあった。





カリウス伍長が、

軍訓練学校を修了して、宇宙攻撃軍に配属されたのは、この頃である。





任地に着いて、緊張の面持ちで待った初めての出会い。



・・・・・・・・・そうして、彼が見た人が、彼のその後の人生も決めた。



モデルみたいに、かっこいいなぁ。

という単純な第一印象と、

この人の力になりたい。

その為に強くなりたい。

もっともっと強く。

願わずにはいられなかった優しさ。



時々、頭を叩く大きな手。

胸に響く声。

心配な目。

渇を入れる仕草。

一緒に食べた味気ない規定食。

先導する機体。

閃光・爆音・振動。

強靭な守り神。



・・・・・・・・・訓練の後の微笑。





国家総動員令の名のもとに、

こうして出会った上官と部下が幾組もいたことだろう。



こうして命を賭けた者たちも。





開戦の日が迫る。
















(2001.11.12)











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