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・・・・・・・・・あの人は時々、そういう顔をした。
0078年10月、『国家総動員令』が発令され、
戦争に突入するのだ、という空気が、サイド3全体を被っていた。
誰しもが戦争に対する懸念や一般的な嫌悪感を持つ一方で、
長年の経済制裁がもたらした閉息感を打破するには、もはや、
戦争しか道がないのだ、
という、虐げられる側にとっては、ある種真っ当な感情もあった。
カリウス伍長が、
軍訓練学校を修了して、宇宙攻撃軍に配属されたのは、この頃である。
任地に着いて、緊張の面持ちで待った初めての出会い。
・・・・・・・・・そうして、彼が見た人が、彼のその後の人生も決めた。
モデルみたいに、かっこいいなぁ。
という単純な第一印象と、
この人の力になりたい。
その為に強くなりたい。
もっともっと強く。
願わずにはいられなかった優しさ。
時々、頭を叩く大きな手。
胸に響く声。
心配な目。
渇を入れる仕草。
一緒に食べた味気ない規定食。
先導する機体。
閃光・爆音・振動。
強靭な守り神。
・・・・・・・・・訓練の後の微笑。
国家総動員令の名のもとに、
こうして出会った上官と部下が幾組もいたことだろう。
こうして命を賭けた者たちも。
開戦の日が迫る。
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(2001.11.12)
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