+ 親友2 +
「く・・・そっ。・・・からっぽ。・・・・・・・・・これも、から。・・・こいつはっ?・・・と。」
・・・あった!!!
部屋中に散らばる酒瓶の中から、まだ残ってるものを探す。
見つけ出し、栓を開けて、すぐ口移しで飲む。
身体中に酒が回って、これ以上酔えるものでもない。
・・・だが、それでも、ケリィ・レズナーは、酒を飲みつづけていた。
一瞬たりとも、醒めることを拒むように。
腰が立たない。
床にべたっと座り込んで、ベッドに寄っ掛かっている。
右手に握ったバーボンの瓶を、繰り返し口元に持っていく。
・・・俺は、こんなに情けない男だったのか・・・
自覚は、あるのだ。
だからこそ、酒にのめり込む。
例え、片腕を失ったとしても、戦争さえ続いていれば、
ケリィはガトーのために、がんばれたかもしれなかった。
だが現実として、一年戦争は終結し、
ケリィもジオンも中途半端なままで・・・・・・・・・
『何が、できるというんんだ。・・・こんな俺に。』
ずっとずっと、士官学校の頃から、一緒で、
ヤバイ目にあっても、助け、助けられ、戦場を生き延びてきたのに。
どれほどバカだと思われようが、
俺が、居たい場所は、あそこだけ。
全力を尽くして戦える、戦場だけ。
「くっそーぉ・・・。」
また、酒を煽る。
「一杯どうかと、思って来たのだが、・・・その必要はないな。」
あれ?ガトーの声がする。
・・・ああ、来てたのか。
そんな顔で俺を見るな。
「・・・少々、頼み事もあったのだが、そのザマではな。」
頼み事?
どうせ俺を、お天道様の元へ引っ張りだそうってんだろ。
・・・ここは月だぞ。ばーか。
「ケリィ。・・・いつまでそうしているつもりだ?」
ほら、そう来た。
それがわかれば苦労しねぇよ。
ははははははははは。
「いくら酒を飲んでも、その腕は戻らんぞ!」
言いやがったな。
俺が一番わかってるさ。
そんなこと!!!!!!!!!
・・・俺だって、キッカケさえあれば、きっと・・・
『おまえが、くれるのか、それを。・・・なあ、ガトー。』
「これを、おまえに預ける。」
翌日、ガトーが案内した場所は、フォン・ブラウン市最下層の小さなジャンク屋。
「これは?!ヴァル・ヴァロじゃないか?!!!」
忘れもしない、グラナダ撤退戦でなんとか回収したMA。
機体の凹みも、そのままに。
「おまえの好きにしていい。・・・片腕で操縦できるようにもな。」
・・・ああぁ、ガトー。
俺が俺を信じられなくなっていたのに、
おまえは信じてくれるんだな。
・・・こんな俺を。
「・・・・・・・・・やってみるさ。」
ケリィは、その日から酒を止めた。
・・・一日にビール一杯以上の。
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