衝
動
「明日は早いからな。・・・今日はもう帰る。」
その彼の冷静さに、
背中にすがりついて、
帰したくなくなる・・・・・・・・・
彼と知り合ってもう7年。あっという間に7年。
仕事とプライベートの境目をはっきりさせたい、と一緒に過ごすのは週末だけ。
・・・・・・・・・月曜日の早朝、目覚めの悪い俺をキスで起こし、
これが最後と言わんばかりに、速攻で愛し合って、
見られたくないと、時間差で出勤していく。
・・・・・・・・・それでも、ギリギリまで俺のところに居てくれるだけまし、と思ってたのに、
『今日はもう帰る。』
・・・だなんて!
夕飯の後、シャワーにベッドにと続くはずだったお決まりのコース。
さっきまで、二人並んで食器を片付けていたのに、漂うのは寂しい空気。
コートを手に取ると、スタスタと玄関へ。
俺より大きな背中の後を追って歩き、湧きあがってくる衝動に耐える。
・・・・・・・・・決めるのは、いつも彼で、従うのは、いつも俺。
(何で、だよ。)
美の神が悪戯心で産み落としたような彼。・・・そのモテモテぶりったら、まったく。
わがままを言えば嫌われそうで、臆病な俺は見送るだけ。
・・・・・・・・・自分がその気になったら、『けじめ』も何も、不意に俺を抱きしめるくせに。
ロッカーでも、作戦司令室でも、シャワールームでも、おかまいなしで。
一度、あの狭いコクピットの中でやられた時は、俺も本気で怒った。
『仕事とプライベートを分けたいと言ったのは、そっちだろ!!!』
『君のために言ったのだ。私はいつでも冷静になれるが、君はそういかないから。』
・・・・・・・・・その通りだよ!あーーーっ!!!
涼しい顔で整備担当と打合せを続ける彼と、まだ熱が冷めなくて現実に戻れない俺。
まったく、・・・ああまったく、その通りだよ。悔しいけど。
『朝まで、ここにいてよ。』
ただそれだけの言葉が口から出せなくて、じゃあと告げる彼を、唇を噛んだまま見上げて・・・
そこで彼が言った。
「なんだ?・・・・・・・・・言いたいことがあるなら、言えばいい。」
俺の顔を見れば、何が言いたいのかぐらいわかってるくせに。
「・・・・・・・・・さよなら。・・・また明日。」
その明日は、ただの同僚に戻る明日だけど。
聞くやいなや、黙って玄関のドアを開ける彼。半身を外に出して・・・
『ここに、いて、よ!』
叫んだのは、心の中でだけ、でも、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・彼が、振り返る。
「・・・アムロ。」
寂しさを埋めるキス。立ったまま壁に押しつけられて。
「・・・・・・・・・シャ・・・ア。」
その性急さに圧倒されて、ただ翻弄されていく。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうしよう。
彼の声が、
彼の手が、
彼の瞳が、
彼の唇が、
彼の身体が、
俺のあちこちに重なって、
溶けそうに熱くて、
今にもはじけそうで、
このままどこかへ連れ去られてしまいそうで・・・
『ここに、いて、よ。』
消えそうな意識の中、
『・・・・・・・・・大好き。』
もう一度、心の中で叫んでみる。
背中に回っている腕が、もっとぎゅっとぎゅっと俺を抱きしめた。
『私も、だ。』
聞こえたような気がした。
だから今なら、声に出して言える気がした・・・
「ここにいて、そばにいて、ずっといて、離さないで、抱きしめていて、撫でて、触って、もっと、きっと・・・。
」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・こんな、衝動は、ただ、あなたにしか、感じないから。
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+-+ ウラの話 +-+
これは、『G忘年会(2000.11.19〜2001.01.06)』の参加作品でした。
忘年会という企画ができたこと自体に、少なからぬ因縁があったのです(笑)。
・・・・・・・・今はもう昔のことですが(^^;)←トボけてみる(笑)。
忘年会といえば、お祭り?・・・お祭りといえば、ラブラブ?
・・・ラブラブといえば、がとーらぶなのにしゃあらぶ?
・・・というわけで、こんなお話でした(大笑い)。
あ、BGMは林檎嬢の"本能"でぜひ(笑)。
管理人@がとーらぶ(2000.12.10)
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