激
情
「・・・・・・・・・さよなら。・・・また明日。」
溺れない君が、
憎くて愛しくて、
埋め尽くしてしまいたい・・・・・・・・・
7年もの時間を共に過ごしてきたのに。
喧嘩らしい喧嘩は一度もせず、私の言うことに従う君。
・・・・・・・・・私がキスをすればキスを返し、
指先でそっと身体を撫でれば、震える手でそれを返し、
ただひたすら応じるだけ。
・・・・・・・・・その仕草も、うつむきかげんで火照った顔を見られまいとする様も、
『いや・・・ダメ・・・。』
・・・否定の言葉もかわいらしいが!
意地悪をしてる訳ではないぞ。
いつになったら、君の方から私を欲しがってくれるのかと、期待してるだけだ。
思いっきり冷たい態度を取ればいいのか・・・なぁ?
早く言ってくれ、さもなくば激情に包まれて私から抱きしめてしまいそうだ。
・・・・・・・・・私だけが、欲しくて、君は、違うのか。
(いや、そんな筈は。)
茶色い巻き毛と見上げる瞳がいつまでも子供のようで。・・・最初の時なんか、さすがにまずいかと、ふー。
15にもなってないかと思った。辛うじて、16歳だったが。
・・・・・・・・・それでも他の誰でもない君だけが抱きたくて奪った。
ずっと奪い続けてきた。
何も知らない君に色んなことを教えた。愛ではなく、ただそれ故に私に従ってるのか・・・と、幾度反芻しただろう。
『仕事とプライベートを分けたいと言ったのは、そっちだろ!!!』
『君のために言ったのだ。私はいつでも冷静になれるが、君はそういかないから。』
・・・・・・・・・冷静なフリ。君がいつ別な道に気付いてもいいように。
赤い顔はただ身の内に残る快楽のせいで私への思慕ではない。
愛してるなら、・・・どうして君の方から望まないのだ。
『朝まで、ここにいてよ。』
それだけの言葉が聞きたくて、じゃあと告げてみるが、君は唇を噛んだまま睨むだけ・・・
これでは道化だよ。
「なんだ?・・・・・・・・・言いたいことがあるなら、言えばいい。」
まったく、私もバカだな。・・・ただの片恋に、こんなに入れこんで。
「・・・・・・・・・さよなら。・・・また明日。」
明日も、恋人にはなれない。
ドアの向こうは白い雪。その冷たい痛みで、私の激情を凍らせてくれ・・・
『ここに、いて、よ!』
気のせいか、私が聞いたのは、だが、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・振り返らずには、いられない。
「・・・アムロ。」
細くて小さな身体。それでもずいぶんと大人になった。そこも・・・ここも・・・。
「・・・・・・・・・シャ・・・ア。」
声も・・・だな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・どれほどの時間をこうして過ごしてきたのだろう。
君の声が、
君の手が、
君の瞳が、
君の唇が、
君の身体が、
私の全身を昂ぶらせて、
情熱を信じさたくて、
ふたつはひとつだと思わせたくて、
このまま君をどこかへ閉じ込めて、残りの時間も全て私のものに・・・
『ここに、いて、よ。』
薄れる理性の中、
『・・・・・・・・・大好き。』
もう一度、聞こえてきた声。
間違いない。・・・君に伝えなくては。
『私も、だ。』
何を疑っていたのだろう。
もうずっと愛されていたのではなかったか・・・
「ここにいて、そばにいて、ずっといて、離さないで、抱きしめていて、撫でて、触って、もっと、きっと・・・。
」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・こんな、激情を、ただ、君に、向けた時から。
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これは、『G忘年会(2000.11.19〜2001.01.06)』の参加作品のおまけでした(笑)。
先に書いた「衝動」がアムロバージョン、こっちがシャアバージョンです。
だからお祭りなので、ラブラブらしさを強調してみました(^^;)。
やっぱり冬は雪ですよ<?(笑)。
・・・・・・・・・というわけで、このお話は壱さんに捧げます(小声)。
管理人@がとーらぶ(2000.12.14)
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