[第1話]
やってきました新録音ですよ。
明夫さんの声は15年前ももちろん渋いのですが
当時は新人に近いキャリアだったんですよね。
聞き比べると、今のガトー様の方がクールだと思います!
演技力に磨きがかかって
無駄な熱さを少しそぎ落とした感じかなぁ。
でもその「熱さ」もがトー様のガトー様たる所以なので
良し悪し???
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[はじまりの歌]
たった今、すれ違った二人組の肩章は
少尉のものだった。
あの年齢で少尉とは、士官学校出なのだろう。
それにしても私の顔を見て
何の疑問も抱かないとは・・・
卒業し立てのひよっこに違いない。
この基地内の上官の顔をまだ覚えてはいないのだ。
初見のサイサリスの搭乗ハッチを難なく開け
座りなれたパイロットシートに腰を落とす。
スロットルレバーを握り
フットペダルに足を乗せ
それからガトーは目を閉じる。
何度こうして出撃したことだろう。
一週間戦争に始まって、
ルウム、ソロモン、ア・バオア・クー・・・。
そして懐かしい初陣の時。
「るるる・・・・・・・・・るるる・・・。」
初めての戦いに挑む、新米少尉を気づかって、
古参の軍曹が声をかけようとした瞬間、
聞こえてきた小さな声。
やたらに興奮する奴もいたし、
がちがちになって指示が聞こえない者もいた。
だが、この新米少尉は、冷静に
でもどこか楽しげに小さな声で歌を歌っていた。
歌詞は聞き取れなかったが、
優しげな歌だったぜ。
後に、エースパイロットとしてガトーが名を上げてから
やっぱり只者んじゃなかったなぁ。
・・・と、ガトーの初陣に立ち会った軍曹は
回りに言っていたという。
銀色の睫毛がゆらぎ、
ガトーが目を開けたのと同時に
サイサリスの目にも起動の火が点る。
遠くで制止の声がする。
一歩、二歩、重厚な足音を響かせ、サイサリスが行く。
「・・・るるる。」
その歌を聞いたのは、サイサリスのみ。
星の屑が、はじまる。
第2話
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