(番外編:お風呂場で大変!)
2000.04.27.
「ほら、コウ!目をつぶらんか!」
「はい〜・・・」
当然の事だが、ガトーさんちのお風呂はゴエモン風呂であった。
ひのきの樽の外の、小さな洗い場で、ガトーは頭を洗ったコウ(7歳)にお湯をかけてやっていた。
「よし。湯舟に入れ。百数えるんだぞ。」
「はい!」
コウ(7歳)は、元気よくそう答えると湯舟に飛び込んだ。
何でかは良く分からないが、アナベル・ガトー(25歳)がコウ(7歳、今の処)を
育て始めてもう二ヶ月近くなる。
コウ(7歳)を、今度こそは立派な軍人に育て上げる為、
ガトーは心血を注いで子育てをしているのであった・・・と。
『やあだ!どこ触ってんのよ、キース!』
『このマセガキが!お湯ぶっかけるよ!!』
・・・隣の家からだ。ガトーさんちの隣には、ニナとモーラの二人組みが住んでいて、
同じく今、お風呂時らしかった。
ガトーさんちのお風呂場の真隣にお隣のお風呂場があるので、
少しくぐもったそのお風呂場での会話が筒抜けだ!!
『ちょ・・・やめなさい、キース!!』
いったいがきんちょキース(コウと同じく7歳)が何を風呂場でやらかしていると言うのだろう。
とにかく、マトモな25歳の男のガトーは思わず、その会話に耳を傾けてしまった・・・。
『や・・・もう・・・いい加減にしなさい!!キース!!』
声を上げているのはニナだ。えっと、金髪のはっきりしない性格の女の方。
「・・・・・・・・・・・・・」
とにかく、ニナにキース(7歳)が何かをやらかしているらしい。
そこまで考えたら、ガトーの下半身はマトモな反応を示した。
・・・何の事はない、ちょびっとばかり興奮したのだ。
「・・・ガトー?」
そう、ゴメモン風呂の湯舟に浸かるコウに言われるまでガトーは自分が洗い場で
ぼーっとしていたのにすら気付かなかった。
「ガトー?」
「え?あ・・・なんだ?コウ。」
コウ(7歳)は、ガトーに言われた通りに湯舟で百数えていた。
もっとも、ゴエモン風呂の樽の中ではコウ(7歳)の身長では座る事もままなら無いので
立ったままでだ。
「・・・ガトーのと・・・ぼくの、ちがうの。何で?」
見ると、コウ(7歳)はガトーの股間に注目している!!
「・・・コウ!!いいから、まだしばらく浸かっていろ!!」
思わずガトーがそう叫ぶと、コウ(7歳)はしゅんとした様子で
湯舟にまた浸かり直した・・・腕は樽に引っ掛けたままでだ。
「はい〜・・・・」
怒られるのは、辛いし嫌だ。
コウ(7歳)は、ゴエモン風呂に浸かったままなんでガトーと自分はその部分が
こんなに違うのだろうと思い倦ねていた・・・。
ともかく、お隣の会話は続く。
『キース!キースったら、やめなさい!!』
・・・キースめ!!一体何をやらかしていると言うんだ!!
ガトーは、もう思いっきり興奮していた。
コウ(7歳)の存在も忘れるほどに。
「ガトー・・・」
泣きそうな声でコウ(7歳)に話しかけられるまで、ガトーは我を忘れてお隣のお風呂場の
会話に耳を傾けていた。
「・・・え?」
「ガトー・・・あっつい・・・」
・・・・何で事だ!!
風呂に浸かり過ぎた為、コウ(7歳)はのぼせる寸前だ!!
「コウ!!」
ガトーが声をかけたが、既に遅かった。
コウ(7歳)は、ゆでだこのような顔をして、ゴエモン風呂の縁に掴まっているのも
必死な様子だった。
「コウ!!」
ガトーはもう1回そう言った。そうして、やっと我に帰ってコウ(7歳)を抱き上げた。
「・・・大丈夫か?」
「はい〜・・・」
・・・なんとかせねば。ガトーは慌ててコウ(7歳)をふとんに連れていった。
ともかく、コウ(7歳)をふとんに寝かせぱたぱたと団扇で仰いでやる。
コウ(7歳)は相変わらず凄まじく赤い顔のままだが、お風呂から引き上げられて
少しは楽になったようだった。
「ガトォ〜・・・」
「なんだ。」
「あっついの・・・ね、『にんじん』して。」
・・・恐ろしい事に、コウ(7歳)はガトーがにんじんを口移しで食べさせたばかりに、
キスの事を『にんじん』と覚えてしまっているのだった!!
「・・・1回だけだぞ。」
「ん〜・・・」
コウ(7歳)は、キスしてもらうと相変わらず火照った真っ赤な顔のまま、
満足そうに眠りに付いた。
・・・ひょっとして自分は、めちゃくちゃ子育てに失敗してないか?
ガトーは思わず、そう考えずにはいられなかた・・・が、団扇でコウ(7歳)は仰ぎ続けた。
ええ、これからこの二人がどうなっていくかって?
・・・そんなの、管理人も知らないよ・・・(笑)。