(がとーらぶ姉様に捧げます。読んでから、怒らないでください/笑。)









第2話:公園デビュー編:2000.03.22.







アナベル・ガトーは悩んでいた。
「・・・コウ。ここへ来なさい。」
そして、おもむろに読んでいた『ひよこクラブ』を閉じた。
縁側の日当たりでシャアザクをいじくって遊んでいたコウ(5歳)は、
とととっ・・・と床の間の前に座るガトーのもとに駆けて来た。
そうして、ガトーの前にちょこん、と正座をして座る。
「・・・あい。なに?がとー。」
・・・それがまさに、ガトーの悩みの種であった!!
「コウ。お前は何で・・・」
コウ(5歳)は、青筋を立てて静かに怒るガトーに怯えたようだった。
「『はい』と返事が出来んのだ!!」
「・・・あい・・・ごめんなさい・・・」
しかしそれでも、そうとしか返事の出来ないコウ(5歳)に、ガトーは頭を抱えた。
「返事は『はい』だ!コウ、何で『はい』と言えんのだ!!」
「・・・あい〜・・・」
遂に、コウ(5歳)は泣き出した!
ガトーは思った。となりの家のキース(やっぱり5歳)なんぞは、非常に
こまっしゃくれた口をきく。うちのコウは、5歳だと言うのに
大人しすぎるし口も遅すぎる・・・!!
「・・・分かった。いいか、コウ。私は決心した。お前には、
キース以外の友達が必要だ。・・・公園にいくぞ。」
「こうえん・・・」
コウ(5歳)は、ひらがなしか話せない。
「・・・しゃあざくもっていっていい?」
「駄目だ。せっかく公園に行くのだから、もっと延び延び遊べ。準備!」
そう言われてコウは、とたんに弾けるように帽子を取りに駆けていった。




家を出た二人は、最初 コウ(5歳)のペースで公園に向かっていたが、
あまりにコウが色々なものに興味を示して寄り道をするので、
結局ガトーが耐え切れなくなってコウを抱き上げてスピードを上げた。
そうして、二人は遂に公園に到着した。





・・・公園・・・!!子持ちの母親達の交流の場であり、
子供達が楽しく戯れる場所、公園・・・!!





「こう〜〜〜〜〜!!」
ところが公園には、ガトーの予期せぬ先客が居た。キース(5歳)だ!!
「き〜すぅ!」
とたんに、コウはガトーの腕から飛び下りてキース(5歳)の居る砂場に向かって
駆けてゆく。ああ、なんて事だ!これでは家に居るのと全く変わらないでは無いか!!!
ガトーが、そう思っていたところに隣の家のニナとモーラが声をかけて来た。
「あら、ガトーさん・・・」
「いっつも、うちのキースがお世話になって!」
「はあ・・・まあ・・・」
ガトーは、煮え切らない返事を返した。
これが嫌で、今まで公園にはコウ(5歳)を連れてこなかったのだ。しかし、見ると
コウ(5歳)はキース(5歳)以外の子供達とも、仲良く一緒に遊んでいる。
「こんなところであなたに会うなんて・・・」
「ま、これからもキースをよろしくお願いするよ!」
ニナとモーラが全く噛み合わない内容をガトーに話し掛けていたが、ガトーは聞いていなかった。
・・・砂場で遊ぶコウ(5歳)は楽しそうだ。その時、ガトーの心に悪魔が囁いた。





コウ(5歳)は、自分では無い他の誰かに育ててもらった方が幸せでは無いのか?
自分は、コウ(5歳)を怒ってばかりいる。このままでは、軍人として
立派に育て上げる前に、『あい』としか返事の出来ない出来損ないで終らせてしまいそうだ・・・。





思い立ったガトーの行動は早かった。
「ニナさん、モーラさん。」
「はい?」
唐突な呼び掛けに、二人は返事をした。
「・・・私は用事を思い出した。コウをしばらく見ていてもらえるか。」
「ええ・・・でも・・・」
「まかせときな!」
モーラが陽気に返事をしたので、ガトーは由とした。
ニナの返事はとりあえず無視だ。どっちつかずで行動の怪しい女だから。
ガトーは、最後にもう一回コウ(5歳)を見つめると、ばっと踵を返し、
足早にその場を後にした。





コウ(5歳)とキース(5歳)の、砂場で繰り広げる会話を聞いていたら、
ガトーもコウ(5歳)を置き去りにするのを考えたかも知れない。
「こう〜。これがおれとおまえのあいのすだ〜。」
「うん〜?あいのすってなに。」
「おおきくなったらけっこんして、このいえにすむんだよー。いいー?」
「うん・・・・あれ?」
その時、コウ(5歳)は、子供の勘で唐突にガトーの姿が辺りに無い事に
気付いた。そうして、キースと作っていた砂の城を崩さんばかりの勢いで立ち上がった。
「・・・がとぉー・・・」
「ここがおふろばで、いっしょにはいるのな。こう?」
コウ(5歳)は辺りを必死に見渡した。
・・・すごく遠くに、ガトーの背中が辛うじて見えた。
「がとーがいっちゃう・・・」
「こう?」
「・・・がとぉー!」
コウ(5歳)は、必死に駆け出した。ガトーは既に、公園の随分と遠くに、
歩みを進めているところだった。
「がとー!」
コウ(5歳)は力一杯呼んだ。しかし、ガトーには聞こえていないらしい。
「あ、コウくん・・・」
「何処行くの!」
ニナとモーラが止めたが、コウ(5歳)は聞かない。その、子供の足で
精一杯ガトーを追い掛けていた。
「がとー・・・がとぉ!」
その時、やっとガトーもコウ(5歳)が自分を追い掛けている事に気付いた。
・・・なんでついてくる!お前は、自分では無い誰か別の人間に拾われた方が幸せなんだ・・・!
ガトーは歩みを速めた。
「が・・がとぉー!」
だが、必死でコウ(5歳)はガトーを追い掛けてくる。
大人には跨ぐのが容易い、植え込みで傷だらけになりながら。
大人には乗り越えるのが容易い、小さな芝生の丘を必死に越えながら。
・・・なんでついてくる!そんなにも、必死になって。
私の後を追う!!
「がとおぅ・・・」
コウ(5歳)は、もう泣きじゃくっていた。
なんで、ガトーは自分をおいていってしまうのだろう。
5歳の心の中に、不安がみるみる広がった。
「がとおぅ・・・やだ・・・まめー!」





・・・遂に、ガトーは立ち止まった。
それが、ガトーの二つ目の悩みであった。
・・・コウ(5歳)は、『だめ』と言えない。『まめ』と言う。
「・・・コウ、何故『だめ』と言えんのだ!」
振り返ったガトーに、コウ(5歳)が追い付いた。
「・・・あい・・・ごめんなさい・・・がと・・・いっちゃまめー・・・!!」
ぼろぼろに泣きながら、自分の足に飛びついて来たコウ(5歳)をもうガトーは
振払う事が出来なかった。
決して追いつけなくても、貴様は諦めんのだな。
「・・・泣くな。」
「まめー・・・やだ・・・がとおはぼくがたおす・・・」
そう言うと、ガトーの機嫌が良くなる事をコウ(5歳)は知っていた。
嫌われるのが恐くて、置いていかれるのが嫌で、必死でそう言っているのが、ガトーにも分かった。
「・・・分かったから泣くな。また、おいてけぼりにするぞ。」
「・・・まめー・・・!!!」
更にひどく泣き出しそうなコウ(5歳)を、ガトーは言葉と裏腹に抱き上げた。
「分かった。ほら、家に帰るぞ。」
「・・・あい。」
コウ(5歳)は思いきりガトーの首にしがみついた。
ガトーは思った。コウ(5歳)にマトモな口を聞かせるのは後回しにしよう。
・・・っていうか、無理そうだ・・・。















さあ!こんな感じでこの話しはまだ続くのか(爆笑)!!???
前回より、断然小説らしくなっちゃってる辺りがまずいぞ(笑)!!
第三話:にんじん克服編、お楽しみに(笑)!!















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