コウは、走っていた。
・・・何故走っていたのかというと、長い上に非常に訳の分からない話になる。時間は、夜中の二時だった。
「・・・・・・・・ああっ!」
急に何かに気付いてコウは真夜中の京都の町の中で立ち止まる。大通りの脇のアーケードには一晩中明かりが付いているので思いの他明るかった。それでも、三条河原町の交差点ですらさすがに人陰は少なくなってきている。そこでコウは恐ろしい事に気付いた。
「・・・・・家、通り過ぎちゃってんじゃん・・・・・・・!!」
そうして、くるりと踵を返すと今度は逆方向に全力で走り出した。・・・元はと言えば部活動の帰りに、ガトーの住んでいる留学生会館に寄って、遅くなったせいで電車が無くなったのだった。でも私鉄の駅二つ分くらいなら歩いて帰れるさ、と
コウは自分の家への帰途に着いたのである。
・・・それが何故、夜中の町を全力疾走する事態に陥っているのか・・・!?
きっかけは非常に単純である。コウは点滅しかけの歩行者用信号に気付いて少し小走りになったのだった。そうして、横断歩道を渡ったら走るのを止めればいいものを、思わずそのまま走り続けてしまったのだ・・・気が付いた時には既に力一杯のスピードで走っていた。十二月の夜風。ピリピリと肌を刺す冷気。ばたばた鳴る脇にかけたカバン。それが思いのほか気持ちが良くて、『走り続ける』のが止まらなくなった。
「・・・・何やってんだ、俺・・・・!えっと・・・こんな映画あったな・・・はは・・・ほら・・・アカデミー賞取った・・・」
しかし、自分で笑ってしまうくらい真夜中に全力で走るのは楽しかった。親友のアムロなんかがこれ聞いたら、きっと信じられないって顔をする事だろう。それでも、コウは息を上げながら、歩いてでも帰れる道をひたすら走リ続ける。
・・・・悩んでいた。
そうは見えないだろうが、コウは悩んでいた。・・・・本当にいつか、自分はガトーに勝てるのか?
そんな未来は、明日は来るのか?
・・・・見えないよ、そんな将来は。ふと気を緩めると、らしくない考えに負けそうになる。今だって全力やってる。・・・それでも、ガトーには勝てないのにさ。
2時半を回った頃、コウはやっと自分のマンションに辿り着いた。
『バラ色の日々』それからものがたり。
コウは、家に辿り着くと、靴を脱ぐのもそこそこに部屋に転がり込んで時間も顧みずガトーに電話をかけた。・・・めちゃくちゃ会いたくなっていた。さっき会ったばかりなのにな。ガトーの家を出たのは何時だっけ?一時?・・・もう一時間半も経ってるじゃないか!じゃ、会いたくなっても当然だろう。自分が会っていない間にまた強くなられたら困る。
「・・・あ、ガトー?おはよー!」
おはようも何も無い。夜中の2時半だ。ガトーはもう寝ているかも、などとは、コウはミジンコ程にも考えていなかった。
『・・・・・・・・・・・・・さっさと寝ろ。』
ワンコールでガトーは電話に出た。ほらな、寝て無い。コウは思った。
「俺、いいこと思い付いたんだ。これからドライブ行かないか?」
『・・・・・・・・・・・は?』
ガトーと言うのは、コウや親友のアムロの通っている大学にこの九月に留学して来たフランス人留学生で、なぜか日本語がべらべらな上に剣道もめっちゃくちゃ上手い男である。コウはこの男が剣道部に入って来たせいで大学生活最大の目標を得たようなものであった。
「ね、シャアさんは?帰って来た?あ、来ない?じゃ、アムロのとこだね。うん、俺電話かけるし。で、4人で行こうよ。」
『電話って・・・今を何時だと思っている?大体、誰が車と免許を持っているんだ?』
「え?俺持ってるよ。免許も車も。・・・知らなかった?」
『・・・いつ取った免許だ。・・・何回乗った?』
慎重にそう聞いて来るガトーに、コウは天井を見つめながらうーん、と考えた。
「今年の夏休みに実家に戻って免許取った。・・・えっと、車も親父が買ってくれた。だから・・・免許取ってから3回くらい乗ったかな?」
『私は行かないぞ!』
電話の向こうで叫ぶガトーを無視して電話を切ると、コウは首からかけていたバックをやっと外すと寝室のベットに放り投げた。コウの家は、大学生の一人暮らしの分際でワンルームのマンションでは無かった。普通のマンションだった。ま、親がコウの大学生活の為に買ってしまったので何の疑問も無く住んでいる。
「さってっと・・・・・」
そして今度は、アムロの携帯に電話をかける。・・・こんな夜中に全力疾走しちゃうような夜には、誰だって寝れっこないに決まってるからまあいいのだ!
『だっからさー、ドライブ!行こうって!!えー、いいじゃんか!ガトーが、行かないって冷たいんだよ!・・・え?もちろんガトーも無理矢理拾ってそっちいくからさ!』
聞こえて来るコウの大声に、思わずアムロはケイタイから耳を離した。・・・っていうか、思い付く限り、コウはいつも威勢よく大声だよな、うん。・・・無駄とは知りつつアムロは一応言ってみた。
「・・・あのさあ。コウ、今何時だか分かってんのか?」
『午前三時!』
コウは陽気に返事をして来た。・・・その通りだよな。目の前のパソコンに表示される時刻を見ながらアムロは思った。突っ込み様も無い。
「・・・・分かった・・・で、何処いくんだよ・・・」
『比叡山。比叡山に行こうぜ。な、それよりシャアさんそこに居るだろ?』
そのコウの台詞に、アムロは思わず自分のアパートの狭い部屋を返り見た。・・・居る、確かに。これを居ると言えるのなら。
「居るけど・・・」
『じゃ、シャアさんにも一緒に行こうって言ってくれよ!そしたら、きっとガトーも一緒にいってくれるからさ!じゃ、十分後くらいに一号線沿いでな!』
そう言うと勝手にコウからの携帯は切れた。思わず、アムロは携帯をジッと見つめてみた。・・・コウっていつ免許取ったんだ?
「・・・コウか?」
「んー・・・なんだかドライブのお誘いだよ。・・・・シャア行く?」
「元気だねえ・・・・」
シャアは見ていたアヤシイ吹き替えの、海外通販番組の流れるテレビを切ると振り返った。
「・・・『シンプル・グリ−ン』と言うのは、素晴らしい洗剤だな。アムロも、買った方がいい。そうしたらこの部屋も少しは綺麗になるに違い無い。地球に有害な成分は全く使って無いそうだ。しかも、五十倍に薄めて使える!」
「・・・・あんたほんとに変なフランス人だねえ・・・。」
アムロは確かに汚い自分の部屋を見渡しながらそう言った。いや、しかし。一人暮らしの大学生の部屋なんてこんなモンだろ。
そもそも、シャアはガトーと同じフランス人留学生で留学生会館の同じ部屋に住んでいるはずの人間であった。そのシャアが、このアムロの部屋に良く来るようになってもう一ヶ月程になる。何故かというと・・・二人が付き合い始めたからだ。・・・いや、男同士なんだが。
「一号線までどれくらいだ?」
「五分ってとこかな。」
「じゃ、行くか。」
シャアとアムロは性格の共通点も同一の趣味も何一つ無いので、二人がつるんでいる事は端から見たら奇妙に見えた事だろう。もっとも、何だか良く分からないすったもんだの上に付き合い始めてからも、二人は全く甘い感じでは無かったが。男同士だし、そんなものだろう。シャアはそこそこ女と遊び続けていたし、アムロはアムロで日々だらだらと過ごし続けていた・・・平たくいえば、この二人にはセックスしか共通点が無かったのだ。
「うおー・・・・寒い。」
アムロが、二人分の煙草の煙りでもうもうとした部屋を換気する為窓を開けてそう呟いた。二人が付き合い出した事に、コウは気付いていなかったし、ガトーは苦虫を噛み潰したような顔で『気付いて無い』振りをする事に決めたらしい。
「・・・っていうか、あの二人あれはあれで超ベッタベタじゃん。なあ?」
「えー?」
テレビの前では、シャアがやっと服を着だしたところだった。・・・そう、シャワーを浴びた後だったので、二人ともほぼ裸に近い状態だったのだ。
「あんたさあ・・・意外とだらしないよね・・・あー、黄色い声で叫ぶ女にこのカッコ見せてやりてぇよ。」
「裸で深夜のテレフォンショッピングをしみじみ観賞する有り様をか?・・・うん、我ながら笑えるな。」
シャアはそう言いながら、アムロになんとはなしにキスをする。アムロも、非常に投げやりにそれを受けながら軽口は軽く聞き流して、ハイネックセーターに腕を通しながら灰皿に煙草を押し付けた。・・・さながら、その灰皿はルパン三世の次元大介の灰皿の様だった。
寒々しい夜空の元でアムロとシャアが足踏みしながら待っていると、ほとんど通り過ぎる車も無い国道一号線を、小さな車がやって来た。
「アムロー!」
窓からコウが手を振っている。・・・ということは、これがコウの車なんだろう。
「やあ、運転するの三ヶ月振り!動くモンだねえ、車って。駐車場に放っときっぱなしだったのにさ〜。」
「・・・・・・・・・・・・・・すげえ。」
「ボロだな・・・いや、こう言って良ければ非常にボロボロだな。良く動いてるな。」
車は、一応外車であった・・・クリ−ム色のフィアット500。が、フィアット500というのは何故か日本人が大好きなミニクーパーより更に小さいサイズの車である。
「なんだかさ、親がどうせ免許取ったばかりでぶつけまくるだろうし、衝撃には外車の方が強いからって。それで中古の外車。」
「・・・フィアットじゃ意味ねぇよ・・・ぶつかりゃ壊れるって・・・面白い親だな・・・。」
アムロは思わずそう呟いたが、コウは道ばたに車を停めると降りて来た。後ろの座席には大きな体を小さくかがめてそれでもガトーが乗っている。・・・非常に苦い顔をしていた。
「アムロが隣でいい?シャアさん、ちょっと狭いけど後ろの座席ね。」
「外車ってんなら、せめてアウディのクワトロにでもしてくれたまえよ・・・。」
シャアがぶつぶつ言いながら後ろの座席に乗り込む。時間は三時半になっていた。
「・・・・ちょっとアムロ。」
と、その時、アムロが言われた通りに助手席に乗り込もうとするのをコウが引き止めた。・・・なんだ?
「何?」
「実は・・・ちょっとアムロには言っておきたくてさ。・・・俺さ・・・・」
不思議に思ってアムロがコウの顔を覗き込むと、コウは真面目な顔をして深く息を吸い込んだ所だった。
「俺さ。・・・ちょっと今日オカシイ。」
「へ?」
アムロは答えた。・・・オカシイって?何がだろう。
「さ、行こー!!比叡山が待ってるぜー!」
アムロがその原因を聞こうとした時には、コウはもう車に乗り込んでいる所だった。・・・おい、オカシイって。そんなんで車運転して、ダイジョブなのかよ・・・・!!?
車は威勢よく一号線を元来た方向に戻っていた。何の事は無い、コウのマンションや留学生会館は京都の町の中にあるのだが、アムロとシャアを迎えに来る為に一度京都の南に下って、また北のハズレにある比叡山に向かっている為だ。
「コンビニ寄るかぁ?」
「あー、おでん!俺、おでんが食いたい!シラタキ!」
そう助手席で言うアムロに、思わず他の三人がそろって顔をほころばせた。ガトーですら、少し口元を緩めた程だ。アムロは、この4人の中では一人で小さく、まるでマスコットのような扱いだった。
「・・・なんだよー!」
その状況に気付いたアムロが言う。
「何でも無いって。・・・ホント。」
シャアがそう答えながらも、俯いて肩を震わせて笑っていた。
「・・・174センチは標準身長だー!!」
「だから、誰もそんな事言って無いって・・・・!」
ムキになっていうアムロに更に三人は笑ったが、笑いながらもコウだけは少し暗い表情でフロントグラスの前に広がる真っ暗な闇を見つめていた。
・・・それにアムロだけが気付いた。そうして、妙な不安を抱いた。
コンビニから熱いおでんのパックを持ったアムロが駆け戻って来ると、車はもう一度スタートした。そして、比叡山ハイウェーに入る坂道に差し掛かる。・・・・その時、カーラジオからやけに威勢のいい女性ボーカルの曲が流れて来た。
「あ〜・・・えっと。ほら、このバンド、なんて言ったっけ?五年前くらいに解散した・・・」
アムロがあちち、とおでんを食べながらその曲の事を言うので、結局他の三人も耳を傾ける。
「・・・ああ。なんつったっけなー・・・」
残念ながら、フランス人留学生組はそのバンドに心当たりが無いようだった。
「そう!『プリンセス・プリンセス』だ!」
「そうそう!それだよ、確かさあ〜!!」
アムロとコウだけがそう言って盛り上がる。最初の部分は聞き損ねたが、それはこんな歌だった。
頑張れポンコツ車ほっぺたに風うけて
長い道を ドキドキする方へ
ガッカリのくり返し グッタリと振り出しへ
それでもまたガタガタ今日も行く
「うっわ、ポンコツ車だってよ・・・」
「今の俺らみてぇじゃん・・・っていうかさ、アクセル踏んでるか、コウ!!??」
坂道に入ったところで、フィアット500のスピードは亀よりノロくなっていた。思わず叫ぶアムロに、コウも怒鳴り返した。
「踏んでる!全開!!」
「で、なんで20キロしかスピードが出ないんだ!!!・・・後ろから走り屋のにーちゃんが接近しつつあるぞ!!確かに最高速度70キロの車ではあるが!!」
思わずシャアまでもが、後ろの座席から身を乗り出して叫ぶ。
「分かってます、踏んでます、やってます!!だああああああ、シャアさんなんで走り屋なんて言葉知ってんのぉ!!!ガトーが重いんじゃ!!??」
「・・・落ち着け!」
その時ガトーが狭い車の中に屈みつつもそう言った。
「落ち着け!別に走り屋とやらに煽られたところで死にはせん!!私の体重も減りはせん!」
そのあまりの勢いに、他の三人は思わず言葉を失った。・・・少なくとも、コウは落ち着いた。
傷跡の数を数えていたら 臆病が無難な根を張った
運命を逆恨みしていた 友達もみんな凄く見えた
「・・・これ、今の俺みたいな歌だな・・・」
車の中にはプリンセス・プリンセスの曲が流れ続けている。コウが、今度は誰もに聞こえるくらいの声でそう言った。
「・・・・・・」
その言葉に、ガトーは小さく眉寝を寄せた。・・・シャアは気付かない振りをしている。それが、今までの礼だとでも言わんばかりに。アムロは、思わず窓の外を見た。・・・四人で居るにはこの車は小さすぎる。そう思った。
車はガタピシ言いながらそれでも辛うじて比叡山の頂上に着いた。
「・・・で?『オカシイ』って?」
比叡山の頂上からは、ずいぶん綺麗に滋賀県側の町並みと、琵琶湖が見えた。・・・恐ろしい事に時計はもう6時に近い。たかが京都の町を抜けて来るのに、とんでもなく時間がかかってしまった。とにかく、アムロは車を停めて外へ出るなり、コウを琵琶湖の良く見えるガードレールの脇に引っ張っていった。
「・・・・だからさ。時々自信が無くなるんだ。」
「自信って、なんの。」
「・・・・俺に、本当にガトーが倒せるのかなあって。」
シャアとガトーは、車の脇に突っ立っていた。シャアが寒々しい空気の中で煙草に火を付けるのを、ガトーが『更に体温が下がるぞ』などと止めようとしている。アムロは、そんなフランス人二人をちらっと見て続けた。
「倒したいの。」
「そりゃあもう・・・!」
アムロの台詞にコウは思わず掴みかからんばかりの勢いで答えた。・・・それから、急にそれに気付いて気まずそうな顔になった。
「あ、ごめ・・・」
「いーけどさ。ほんで?」
「だからさあ・・・」
コウは頭を掻きながら続けた。・・・ああ、柄じゃ無い。うじゃうじゃ悩むのがまず柄じゃ無い。しかし、こんなこともあるのか、人生には。そんなものなのか。
「見えないんだよ。未来がさ。遠くって、小さくって、これから俺とガトーの間に何があるのか全く見えないんだ。・・・勝てるのかとかさ。そう言う事全部。・・・・遠すぎて、何も見えない。・・・これってヤダ。」
アムロはうーん・・・という顔で腕を組んで考えていた。それから、まず空を見た。そうして次に、琵琶湖を見た。・・・そして言った。
「・・・いーんじゃねーの。それで。」
「よかねーよ!気持ち悪いよ!」
「でもさあ・・・えっと・・・」
アムロは小さくため息を付いた。それから顔を上げた。
「そりゃあ・・・『遠くて小さくて』見えねぇんじゃ無くて・・・・・・・・・・・・・」
アムロは、コウの目をまっすぐ見つめていた。小さく鼻の頭を掻く。
「未来が輝いてるから、『眩しくて』見えねえんじゃねえの?」
−−−−−−−−−−−−−紫煙に霞みながら、その時琵琶湖に夜明けの太陽が登る。
「・・・・ああ。」
コウは、目を見開いたまま思わず固まっていた。・・・それから辛うじてこう言った。
「ああ、そうだ。・・・そうだよ・・・そうに決まってるじゃんか、なあ・・・・・・・・・・・!」
そうして、アムロに思わず抱き着いた。
「愛してるよ、アムロ・・・!」
「ま、俺もコウ好きだけどね・・・」
アムロは、コウの腕の中でガフガフむせながら苦笑いした。・・・うん、コウ大好き。
「おー、抱き合ってる抱き合ってる。・・・青春だねえ・・・」
「・・・貴様はもうちょっと、こう、真面目にモノは話せないのか。」
少し離れたポンコツフィアットの脇では、二人のフランス人がそう言い合っている所だった。アムロとコウが抱き合っていた腕を離す。それから、少し見つめあって今度は面白がってもう一回抱き合う所だった。
「いや・・・本人は至ってマトモなつもり・・・何だろう、ここは私達も抱き合った方が良いのかな?」
「夜が明けたな・・・・」
シャアの軽口をガトーは全く無視した。
「はい、明けましたねー。」
シャアはつまらなそうに、ふうっと長く紫煙を口から吐き出した。
ほら 諦めていたドア 鍵は開いてた
おかしくて大声で笑った
「よおし!夜明けも見たし、さっぱり綺麗に帰ろう!!1限から授業だよ、俺!」
アムロと二人で、ガードレールのはしっこから戻って来たとたんにコウがそう威勢よく言ったので、シャアが『うげぇ』という顔をした。
「ウソ・・・一限出る気か?・・・さっくり休もう、こういう日は。コウ君!」
「はい、乗って乗ってー!間に合わないよー!」
しかし、コウもガトーと同じく全くシャアの台詞を無視した。・・・というか、アムロは最近気付いたのだが、コウは大概ガトーの事しか考えていない。・・・これから、この二人はどうなるんだろう。
頑張れポンコツ車ほっぺたに風うけて
長い道を ドキドキする方へ
ガッカリのくり返し グッタリと振り出しへ
それでもまたガタガタ今日も行く
そんな事を考えたら面白くて、アムロは一人でニヤニヤ笑った。・・・ともかく夜が明けた。これから、新しい一日が始る。わくわくするじゃないか。
・・・・・・・風は向い風で、そうして自分達はいつも全力疾走だった。・・・そんなトシゴロだった。
2000/06/21
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