京都には『三大祭り』と呼ばれるものがある・・・確か、祇園祭りと葵祭と時代祭。しかし、コウは京都に引っ越して来たものの、そのどのお祭りにも出かけて行った事がなかったので、『もしくは三大祭り以上?』と思われる人波の中でただひたすら苦い思いをしていた・・・・おかしいよ!どうしてみんな、こんなにいっぺんに出掛けたがるんだよ!!!・・・確かにお祭りは好きだ。しかし、限度と言うものがある。それはつまり、京阪四条駅から八坂神社まで、全く身動きも出来ないほど通りが人でうめつくされ、実際歩かずに流されて八百メートル程進めそうな状況の事を言う・・・・それが限度だ。
とにかく、コウはこういった事をジッと口に出さずに我慢する、というタイプの人間では無かったので・・・そりゃ、我慢する事もある!例えば、ガトーと喧嘩した時とかだ、そう言う時は口なんかきかないけど!・・・ともかく、口に出してこう言った。
「・・・・があああああ、狭い!苦しい!人が多すぎる!!!・・・・誰だ!?『初もうで』にみんなで行こう、なんて言ったのは!!??」
そのとたんに、コウの周りで同じように人込みに押しつぶされていた三人がバッ、とコウに目を向けた。・・・つまり、親友のアムロと、部活動の友人のガトーと、そのガトーと留学生会館で同室で、かつコウとアムロ共通の友人でもあるシャアが。
「・・・・おめーだよ、コウっっ!」
「そうだ、君だぞ、コウ君!」
「自分の発言にくらい責任を持たんか!!!」
「・・・・・・・・・俺、だっけ?」
勢い良く三人に同時に怒鳴られたコウは、さすがに苦笑いをするしかなくなった。・・・・あははははははは?・・・・そっか、俺だっけ???
『バラ色の日々』いや、今8月なのは分かってるけど・・・っていうお正月編(笑)。
フランス人留学生のシャアやガトーはともかく、アムロも帰省しないと分かったのは、つい昨日の事であった。・・・・四人の通う大学は、ミッション系にもかかわらず、恐ろしい事にクリスマス過ぎまで授業があった・・・・つまり、正月休みはたったの一週間程しか無いと言う事だ。
「・・・うーん、正月明ければすぐテストだしなー・・・」
関西の大学と言うのは、関東の大学より入試が早い。ということはつまり、在校生の後期試験も関東より早く始まり、早く終るのだった。
「・・・ナミエちゃんは帰省しねーの?」
「ナミエちゃんて呼ぶな。」
コウとアムロは年越し前最後の授業が同じ授業だったため、一緒に駅までの道を歩いていた。・・・・どうでもいいが、この大学はやっぱり広すぎる。随分山を下って来ているのに、まだ校地を出ないのだった。・・・・山一つ大学って言うのはめちゃくちゃだ。
「俺は帰らないけどね、年明けすぐに、ガトーと釣りに行くって約束したんだ。・・・ワカザギ釣り!」
ともかく曇り空で、風まで強い年の瀬だった・・・『ガトー』と言っただけで体温が上がっていそうな、隣を歩くコウを横目で見ながらアムロはマフラーを巻き直した・・・・あああ、本当に熱い青春だなああ!俺は、そういう、やたら体力の要りそうな人生はとんでもねーがごめんだ。
「俺は帰らないよ。・・・ええっと、そうだな、家で紅白見て、隠し芸大会見る。・・・・それから寝る。」
そんなアムロの返事に、コウは少し考え込んだようだった・・・・それから言った。
「ね、シャアさんももちろんフランスまで帰省しないよな?」
「そうだねえ、フランスが滋賀県にでも無い限り。」
「・・・・んじゃさ!!!!四人で初もうで行こう!!!うん、そうしよう!!なんていい案なんだ!」
うわあ、シャアが泣いて喜びそう・・・と思いながら、アムロはとりあえずこくこく頷いた。・・・だってさ、コウったら言い出したらきかねーもん、絶対行く事になるよこりゃ!が、シャアがそういうめんどくさい事が嫌いなのはアムロは痛い程知っていたし・・・何しろシャアとアムロは男同士の癖に何故か寝ちゃうようなスバラシイ仲の良さなのだった・・・お互いの考えてる事なんか一発で分かる・・・・ともかくだ。ともかく、四人で初もうでに行く事になるだろう。それだけは確実・・・・アムロはそう思った。・・・しかし。そういや、ガトーさんは初もうで行きたがるような人かな?
「・・・・がああああ、だから寒いって!なんで駅につかねぇんだよ!!」
「駅の方をここまで引っ張って来るか!」
二人はそんな軽口を叩きながら、何とか駅に到着すると電車に乗った。・・・そうして、アムロが先に竹田の駅で降りる時に、数日後の待ち合わせ時間を決めた。
意外な事に、思ったよりすんなりガトーはコウと待ち合わせの駅で待っていた・・・・シャアの方を、転がり込んでいた自分のワンルームマンションから引っ張り出すのに、アムロの方が手間取ったくらいだ。
「・・・ようし、揃ったね!!」
当初、コウはやる気満々であった・・・・通りをうめつくす、無尽の人込みを見るまで、の間であったが。
・・・・・そうして場面は、最初の文章に戻る。
「あー・・・・あの、俺ね!!・・・・・前が見えない、前がッ!!」
アムロがそう叫び声をあげるのも無理は無かった。・・・・何万人だ?ともかく、鴨川から八坂神社までの本来車道の道を、うめつくす人込みと言うのは生半可では無い。
「・・・伏見稲荷にしておけば良かったんだ。」
「いや、あそこは全国三番目の人出になる・・・・・もっと込んでいるぞ。」
「じゃ、平安神宮!!」
フランス人だというのに、相変わらずシャアとガトーがそんな会話を交わした。・・・この二人の流暢な日本語のやり取りを見る度に、コウとアムロは日本人をやって行く自信を失う。
「・・・そうだ!はぐれないように、手を繋げばいいんだよ!」
自分もうんうんうなりながらコウがそう言った・・・・時刻は、十一時四十分ほど。・・・・後二十分で、八坂神社にたどり着けるだろうか。
「あー、なるほど。」
そう言ってシャアは、あっさりアムロの左手を握った。・・・・あのねぇ!大義名分を得たと言わんばかりのそのシャアの横顔を見て、アムロは小さく舌打ちする。・・・くっそ!いつか見てろよ!ここ、天下の公道ですー!!俺、男ですー!!・・・しかし、アムロも手を出すと空いている右手でコウの左手を握る。そうして、コウも何も考えずにガトーの左手を自分の右手で握った。・・・最後に残ったガトーは、さすがに変な顔をした。・・・・こういうなれ合いの文化はこれでイイモノなのか?・・・しかし、他にはぐれないようにする手段も思い付かない。
「・・・・ところで、たどり着けるのか?」
「いつかは!!」
ガトーの訝しげな口調に、コウが陽気にそう答えた。・・・シャアとアムロはふき出した。
それは、一瞬の出来事であった。・・・・やっと、八坂の入り口の階段まで辿り着き、四人が一息付いた時、階段のせいでちょうど目の前に来ていた晴れ着姿の女性の髪の毛に、アムロは頭を突っ込んでむせた。
「・・・・・う、ふえっくしょい!!!」
思わず、繋いでいたコウとシャアの手から自分の手をほどいて鼻をこする。・・・・だあああああ、整髪剤と香水のにおいで凄いもんだ!
・・・・と、その瞬間!
「う、わ?・・・・わあああああああああああああ!」
あまりに突然人込みが塊になって動いたので、他の三人には何が起こったのか理解出来なかった・・・・ともかく、塊になって動いた人込みの中にアムロの姿が消えてゆくのと、その小さくなってゆく叫び声だけをコウとガトーとシャアは聞いた。
「・・・・アムロ!?」
「おい、アムロ!!」
「アムロ、何処だ!!??」
三人が同時に叫ぶ。・・・が、その三人も人並みに飲まれ、まるでピストンが押し出されるように勝手に流されているので、とりあえずこれ以上互いを見失わないようにするだけで必死だった。・・・もっとも、シャアの派手な金髪と、ガトーの飛び出た身長は、なかなか見失えるものでも無かったが。
「・・・・くっそ、無事か!?」
どうにか境内に入り、拝殿に向かう人込みから脇に抜け出したところでシャアがそう言った。
「・・・・何とか。」
「アムロはどうなった?」
・・・しかし、見えるのは一方向に向かってひたすら流れてゆく人込みばかりである。・・・・ええと、年明けまであと10分。
「あああ・・・・『174センチは標準身長だー!』と叫んでいるアムロの姿が目に浮かぶようだ・・・」
本気なのか冗談なのかは分からないが、ともかくそう言ってシャアが拳を握りしめた。
「探そう。・・・ええっと。とにかくアムロを助けなきゃ!!」
コウがそう言うと、身を翻して人込みに飛び込もうとした・・・ガトーとシャアは慌ててそれを止めた。
「落ち着け!貴様まで迷子になっては話にならん!」
そういうと、ガトーはコウを後ろから羽交い締めにする。
「でも・・・アムロが潰されちまうよ!!・・・ああ、アムロ!!!」
「・・・・何かいい案は。」
悲愴感に浸っているコウは腕の中で泳がせておきながら、ガトーがシャアにそう言う。・・・するとシャアは、しばらく考えてからこう言った。
「・・・二手に別れよう。私と、コウ君は携帯を持っている。・・・ガトーは持っていないから、コウ君と一緒に行動したまえよ。とにかく、何処かでアムロを発見したら連絡。・・・・神社から出ればなんとかもう一回巡り合えるだろう。」
「分かった。」
ガトーがそう返事をすると、コウをほどいた。そうして、その腕を引っ張って、今度こそ人込みに飛び込む。
「ええっと・・・・・・」
シャアは、念のためアムロに電話をかけてみた・・・・が、返事は無かった。
「・・・・だあああああ、174センチは標準身長だー!!!」
・・・・案の定、アムロはそう叫んでいた。・・・・ここ、どこよ。いや、多分八坂神社の中なんだけど。上を見上げれば、杉の巨木などが見える・・・で、でも動けない。
「・・・・・・コウ〜、ガトーさ〜ん・・・・・・・シャアぁぁぁぁぁあああ!」
叫んでも返事は無かった。・・・・恥ずかしくなって止めた。・・・俺、年幾つだよ。19だろっ!!??
「・・・・・・・・・たすけてー!」
・・・・でもやっぱり、アムロはそう叫びながら人込みに流され続けた・・・。
「・・・後何分!?」
しっかり手を繋いでいるので、おそらく迷子になる事は無いのだが、それでもガトーにしがみつき気味になりながらコウがそう言った。
「やけに気にしているな。・・・後五分で新年だ。」
「・・・・だってさ、俺の田舎の方だと、『初もうで』のこと『二年参り』って言うのな!・・・・年をまたいで、お参りしないと御利益無いのな!!・・・重要問題だろ!?」
「・・・・・・・・」
ガトーは、この人込みの中でそんな事を考えられるコウに少し感心したが、考えてからこう答えた。
「・・・地方文化と言うやつだな。・・・まあ、年が明けてからお参りしても御利益は半分くらいあるだろう。それより、アムロは見つかったのか?」
「・・・・あーーーーーーー!」
その時、人込みの中だと言うのに凄まじい大声でコウが叫んだ。・・・・思わず周りにいた人間のほとんどが振り返った程だ。
「・・・・・何だ。」
さすがに恥ずかしくなったガトーは、コウを引きずって人の流れから少し外れた所に出る。そうして、聞いた。
「何だと言うんだ。・・・・もうすこし落ち着け。」
「あのさ!・・・俺、なんでガトーが今回こんなにすんなり『初もうで行こう!』っていうのに付いて来たのか不思議で不思議でたまらなかったんだけど・・・それって、ほら、『日本文化』だからか!!??だから、一回やってみたくて来たのか?」
「・・・・・・・・・・・・そうだが。」
ガトーが正直にそう答えると、コウはめちゃくちゃ嬉しそうな顔をした。
「・・・・そっか!やった、ガトーのしてみたかったこと、俺当てられたよ!!・・・・ここが日本です!!」
「・・・・・・・・・・・」
あのなあ。・・・・両手を広げて喜ぶコウに、もうガトーはどう突っ込めばいいのか分からなくなっていた。・・・・本当にバカだな!?こいつは!!・・・大体、アムロはどうなった、アムロは!!
アムロは、今日程日本に『脱色』という文化の根付いた事を恨んだ日は無かった・・・ああああ!金髪!金髪!・・・周りの金髪のヤツが、どいつもこいつもシャアに見える!!
「・・・・シャア〜・・・・シャアってば〜・・・・俺、死んじゃうんだここで・・・初もうでも、お参りも出来ずに・・・サヨナラ、みんな・・・・」
アムロがひたすら流されながら、どうやら拝殿の前に辿り着いてしまった、まさにその時だった。
「・・・・・居たあ!」
そう叫んで、誰かが後ろからアムロのコートの首を掴んだ。・・・うぐ。・・・・アムロは、息が止まりかけた。
「・・・・なにすんっっっっ・・・・!」
「アムロ!」
・・・・それはシャアだった。・・・・ああ。今日ほど、このおめでたい頭の色の男が、イイ男に見えた日は無い!
「シャア!」
シャアは凄まじい勢いで・・・とてもその怪しい笑顔からは想像出来ないくらい強引に・・・・辺りの人込みをかき分け、アムロを拝殿の建物の壁際に引きずって行った。
「あああ・・・息が出来る!!」
「・・・・そりゃ良かった。」
そう言いながら、シャアは携帯を覗き込んだ・・・・後三分で新年。
「今、コウとガトーに・・・・・・」
そう言って、携帯をかけかけたシャアの動きが止まった。・・・なんだ?シャアは、酸欠状態のアムロを救うために、壁際にアムロを立たせ自分の身体で人込みから壁を作ってくれていたが・・・携帯を握ったままなんとも言えない顔をした。
「どうした?」
「・・・かからない。『ただいま、大変回線が込み合って・・・』とか言ってる。」
「ああ!・・・・良く考えたら、今回は特別だ!・・・1999年から、2000年になるんだし!・・・みんな電話掛けまくってるよ!繋がりっこねぇ。」
そのアムロの台詞に、シャアは納得したようにさっさと携帯をしまった。
「・・・・じゃ、しょうがない。我々だけで年越しだな!」
「あー・・・・・・」
気の早い連中の、カウントダウンの声が響き出す。・・・お祭りだ。千年が一つ終って。
「・・・・そうだ、あのさあ、シャア。・・・・・・・・・・・・キスしようか。」
・・・次の千年が始まるお祭り。
「・・・・・・・・・・・・・・・へ?」
思いきり間抜けな顔をしてシャアが自分を見たので、アムロは気分が良かった。
「・・・・何だって?・・・・ここは外だぞ?・・・・私達は男同士だぞ?・・・・・そんなことしたら、」
30、29、28・・・・・。カウントダウンの声は続く。・・・それにまぎれて除夜の鐘。・・・何処かの大学のサークルの連中でも、同じように大挙してやって来ているのだろうか。どっと沸き上がる笑い声。
「・・・・そんなことしたら、恋人同士みたいだぞ・・・・・・・?」
シャアの台詞に、アムロは今度はニヤっと笑った。そうして、コートの帽子をかぶる。
「分かんねぇ、分かんねぇ。見えねぇ、見えねぇ。・・・この人込みなら。」
そうして、シャアの首に手を回した。
「どうする?」
8、7、6。
「・・・・そうだなあ・・・」
5、4、3。・・・・軽く一回。・・・・それから、もう一回深く。
「・・・・・・・・・」
2、1・・・・・・カウントダウンの声が歓声に変わる。・・・・クラッカーの音。神社の境内に、なんて物を持ち込んでるんだ!!頭の片隅で、アムロは思った。
・・・・深く長く、キスは続く。
「・・・・年越えちゃった〜・・・・・」
人込みの中で、ガトーにしがみついたままコウは泣きそうな声を上げた。
「ああもう、どうする!?ガトー!!」
「どうすると言われても・・・・・」
年越しの合図の瞬間から、凄い勢いで人々が拝殿に向かって小銭を投げ付けはじめる。・・・頭の上をビュンビュン飛んでゆく5円玉やら百円玉。・・・ガトーは、恥ずかしい事に本当に感動していた。
「・・・・どうすると言われても。・・・・ああ、そうだ、あけ・・・・」
「あーっっ、待った!・・・・分かったぞ!?それは分かった!!!」
とたんに、コウがそう言ってガトーの腕を掴み直す。・・・人込みは、ゆるゆると年を越した事で動き始めた。
「・・・・俺に言わせて!!!・・・・『明けましておめでとう』、ガトー!!・・・・今年こそは・・・俺はガトーに勝つ!・・・分かったか!?」
そう、力一杯本気で言っているコウを、しばらくガトーは呆然と見つめる。・・・それから、小さく笑い出した。
「・・・何!?何で笑ってるんだよ、ガトー!!??」
・・・何でと言われても。・・・遂に、ガトーは大笑いを始めた。・・・・驚いた。
「・・・・ガトー?」
そんなガトーを、今度はコウの方が呆然と見つめた。・・・大笑い?・・・・ガトーが!?
「・・・・・ああ、いや、すまん。・・・そうだな、これだけは言っておく、今年も貴様になぞ私は負けん!」
ガトーは、まだ笑いながらそう言った・・・何だよ!そんな事ナイって!!新しい年なんだぞ!!??・・・・俺が勝つに決まってる!
「だあああ、もう、何で笑うんだよー!!!俺はね、俺は本気で言ってるの!!!聞いてるのか!?ガトーったら!!!」
「聞いてる。・・・ついでに私の話も聞いてくれ。・・・・・夢だったんだ。」
「へ?」
その、ガトーの意味不明な台詞に、やっぱりコウは聞き直した。
「夢って?」
「だから、フランスに居る時からの夢だったんだ。・・・・日本に来て。・・・・こうして初もうでを、神社に行ってして。・・・そうして、『あけましておめでとうございます』と、日本語で言うのが。」
・・・・そうなの?コウは思ったが、ガトーはやっと笑うのを止めると、真顔でもう一回コウにこう言った。
「・・・・夢だったんだ。」
「んー・・・・・あー、そうなの?」
・・・・じゃあ。
「・・・・何だ?」
コウが、急に背筋を延ばして立つと、ガトーにまっすぐに目を向けたので、ガトーは何ごとかと思った。
「『あけましておめでとうございます』、ガトー。・・・・今年もよろしく。」
・・・・・じゃあ、その夢、叶えましょう?
「・・・・・『あけましておめでとう』、コウ。・・・・今年もよろしく。」
そう言って、ガトーもおじぎをする。・・・・人込みの中でやけに丁寧に挨拶を交わす二人はハッキリ言ってちょっと妙だったし・・・・こう言って良ければ、身体が大きいので、かなり邪魔だったのだが。
ともかく、二人は挨拶を交わすとニヤっと笑って、お参りもそこそこに境内を後にした。
「・・・・年越し。」
シャアとアムロは、辺りの人込みが動き出したところでやっと唇を離した。
「いやあ・・・ハッキリ言ってイイか?・・・こんなこっぱずかしい事は、どの女ともやった事が無いぞ?」
シャアがそう言って小さく笑った。
「あー・・・そう?ま、いいんじゃねーの、たまには?」
「たまにはね。」
シャアもそう答える。・・・そうして、二人は適当に小銭を賽銭箱に放り込むと境内を後にした。
今年も、その次も、ずっとずっと。
こうして、楽しくて大笑いで、そうしてちょっと無茶な日々が、どうかどうか続きますように!
携帯が通じて、そうして四人が祇園会館の前で合流するのには、更に二十分程時間がかかった。・・・それから四人は、特別営業をしていた小料理屋で、おでんをつまみに酒を一杯引っ掛けてから、寒空の元それぞれの家に帰った。
・・・・今年も、その次も、ずっとずっと。
バラ色の日々が、みんなで過ごせますように!・・・ A HAPPY NEW YEAR!
2000/08/30
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