文責:アコさん
『バラ色の日々』・・・・つーわけで、ついにばらいろにアレを!!・・・・頂いてしまったのでした、アコさん、本当にアリガトウゴザイマス(笑)!
シャアがらしくもない告白をぶちかまし、ガトーが三人の頭をぶっ叩いて、ようやく四人に夏が訪れたその日、約一ヶ月ぶりに集まった四人は当然の如く一緒にご飯を食べようということになった。よく考えれば、まだ誰も朝食を食べていない。
「市内に出る?この時間だと、この辺りで俺がよく行く店、まだ開いてないし」
アムロは一応そんなことを提案してみたが、三人が賛成しないことは言ったアムロにもなんとなく分かっていた。なんとなく・・・なんとなく、ごちゃごちゃと他の人間がいる場所に行きたい気分ではなかったから。
「近所にコンビニあったじゃん。あそこで何か買ってこようよ」
それは、あの、シャアが愛用している(と言うか、アムロの家に来るついでに色々と買い出しをしてくる)コンビニだ。コウの台詞に誰も反論せず、連れだってマンションを出た。普段ならどんなことがあっても、コンビニ弁当やおにぎりなんぞで手抜きすることなど許さないガトーでさえもが。
「コンビニの陳列はとても綿密に計算されているってこと知っているかい?」
「じゃあ、これは知ってる?カップ麺って、関西と関東じゃ味付けが違うんだぜ!」
「あ、俺、中華まんの種類なら詳しい!」
と、コンビニとはあまり縁のないガトー以外がコンビニについてのマメ知識を披露しながら買い出しが終了し、四人はまたなんとなくアムロのマンションに戻る。昨夜はほとんど徹夜だったコウとガトーは交代で仮眠したり、シャアはいつものテレビでいつも通りたいして意味もない番組をダラダラと見たり、アムロは机の上のパソコンに向かってネットしたり―――
特に四人で集まっている意味もない過ごし方をしつつも、なんとなく誰も「帰る」とか「何処かへ出かけよう」などとは言い出さず、時折四人でくだらない会話に花を咲かせては一緒の時を過ごした。意味があるのかないのかよく分からない時間を・・・
ガトーの猛反対を押し切って昼は宅配のピザを注文し、さすがに夜はガトーの反対を押し切れず、コウの小さな車に乗り込んで“お好み焼き”の材料と鉄板を買い出しに行った。お好み焼きもじゅうぶんジャンクフードなのだが、“お好み焼き”や“焼きそば”などは関西の食文化と認めているのか、ガトーもそれで妥協したらしい。ただし、具は多め、野菜たっぷり。ダシや、上に掛ける鰹節までこだわって。
わざわざ鉄板まで買ってくるぐらいなら、お好み焼きぐらい食べに言った方が早いのに・・・とは、なんとなく誰も言い出さなかったのだ。
お好み焼きはかなり盛り上がった。散々失敗作を作り上げたあげく、「未熟者!材料を無駄にするな」と三人が朝に続いてガトーに頭をぶっ叩かれるシーンもあったが、そのガトーのお陰で店で食べるよりも美味しいお好み焼きに全員が満足する。アルコールも入っていい加減全員が気持ちよくなってきた頃―――
「そろそろ帰らなきゃ」
突然コウが立ち上がり帰り支度を始めた。
「何だよ、突然。コウってばつい今までビール飲んでたじゃないか。車なんか運転出来ないって」
当然の台詞で引き留めるアムロにも「なら電車で帰る」と言い出す。
「もう電車は動いていないよ?」
シャアも一応そんな台詞で引き留めてみたが「じゃあタクシーだ!」と学生にあるまじき贅沢な手段まで持ち出した。
「そこまでしなくても・・・もう少しアルコールが抜けるの待つか、雑魚寝でよけりゃ泊まっていけばいいじゃないか」
アムロの台詞に、コウはアルコールで赤くなっていた顔をさらに赤くして暫くの間らしくもなく言葉を選んでいるようだったが、やがてこれ以上はないという真面目な顔で言った。
「俺・・・ニブいけど、そこまでニブくない」
他の三人はもちろんすぐにコウが何に対して気を使っているのかを察する。
「よし、帰ろう。一緒に帰ればタクシー代は折半ですむ」
どうせ後は寝るだけだと、珍しくガトーの方からコウを留学生会館に誘って立ち上がると、もうそれ以上引き留めるのは無理な雰囲気になった。
「待てよ。ならせめてタクシー代出す」
引き留めることは諦めてアムロはそう提案してみたが、それにはコウもガトーもクビを縦に振ろうとはしない。「なら帰すわけにはいかない!」とまで粘って結局タクシー代は四人で折半することに決まり、京都で一番安いタクシーを呼んでコウとガトーは留学生会館に帰っていった。
さて、どうするか・・・。
コウとガトーが出ていった扉をなんとなく見つめながら、二人は無言だった。
コウも公認の―――“さあやりなさい”と言わんばかりのシチュエーション。これまで成り行きで、なんとなく抱き合ってきた二人にとってはかえってやりづらい。
「取りあえず、交代で風呂にでも入ってみようか?」
なんとも妙な表現で、それでも一応アムロより数段場数をこなしているシャアが先に口を開く。さすがに「一緒に入ろう」などと言い出さなかったのは、今更そういうことをする間柄でもない上に、何よりもワンルームマンションのバスルームが男ふたりで入るには狭すぎるからだ。
「・・・・・そうだな。あんた、先に使ってこいよ。俺、まだネット繋ぎっぱなしだし」
律儀なガトーとコウがしっかり後かたづけまで手伝っていってくれたので、他にやることもない。シャアはアムロの言葉に従ってバスルームに向かい、アムロは、そういえばシャアが使ってたバスタオルどこに置いたっけ・・・と、辺りを見回した。見つけたバスタオルをバスルームの横の洗面台に向かって放り込むと、途端に手持ちぶさたになって、仕方なくアムロはネットを繋ぎっぱなしのPCの前に座り込む。特に当てもなくネットを彷徨っていると、シャワーの音が聞こえてきた。
「あー、ヤバイな、俺」
アムロは声にならない声で呟いた。こんなことで何だか幸せだと思ってしまう自分が恥ずかしい。
それでも―――
程なくしてシャアがバスルームから出てくるまで、アムロはPCの画面をぼんやり眺めながらシャワーの音に耳を傾けていたのだ。
「・・・電気、消してくんない?」
シャアと交代でシャワーを終えたアムロがバスルームから出てくると、さすがにそれ以上先に引き延ばす口実も見つからず、二人はなんとなく一緒にベッドに潜り込んだ。まさかそのまま寝てしまうワケにもいかず、二人はどちらからともなく腕を伸ばして抱き合ったのだが、お互いに唇が触れる前に、アムロがシャアに向かって言ったのだ。
「何故?」
当然ながらシャアが問い掛けてくる。
なんか恥ずかしいんだよ―――昼間にあんな告白を聞かされたせいか、それとも久し振りだからだろうか。間近にあるブルーの瞳から微妙に視線をずらせたアムロは心の中で叫んでみたものの、バージンの女子高生でもあるまいし今更そんな台詞を口にする方が恥ずかしいことぐらい自分が一番分かっている。
「いいから消せって」
理由は言わずアムロは自ら電気のコードを引っ張ろうと右手を伸ばしたが、シャアの左手によって捉えられベッドに縫い止められた。
「消したら顔が見えなくなるじゃないか」
何だよ?と睨み付けてくるアムロに、至極当然の事を言う。
「別に顔なんか見えなくてもいいだろ?」
「顔が見えなくては楽しみが半減じゃないか。久し振りだというのに」
だから恥ずかしいんだって!!!―――またも声には出せずにいるアムロを余所に、シャアの手がシャツの中に潜り込んだ。
「だからーー、電気〜〜〜っ!!!」
消さないならヤらないとまでごねだしたアムロに
「明るいのが嫌なら君は目を閉じていたまえよ」
シャアは取り合わない。それじゃあ、意味ねーじゃん!!と心の中で突っ込みつつ、
「なら、あんたも目を―――」
閉じろ!と言いかけたアムロの台詞は途中で遮られる。唇を塞がれたため―――平たく言えば、有無を言わせずシャアがアムロにキスしたためだ。
「ん――――――っ!!!」
当然ながらアムロは抗議した。自由な左手でシャアの胸をドンドンと叩く。結構強い力で叩いた為、シャアは顔を顰めて一端相手の唇を解放したが、電気を消そうとはしなかった。
「大人しくしていたまえよ、君。恥ずかしいのはお互い様だ」
「え・・・・?」
意外な台詞に思わず間抜けな声で聞き返したものの、アムロの肩から力が抜ける。
『そっか。シャアも恥ずかしかったんじゃん』
そう思うと妙に気が楽になって―――
「よし!続き」
妙にキッパリとしたアムロの声。逆に驚いた表情を浮かべるシャアの唇を、今度はアムロの方から奪ってやった。
シャアの指に脇腹を撫で上げられてアムロの身体を一月ぶりの感覚が駆け抜ける。
「―――――んっ・・・」
咄嗟に出た声を呑み込んでアムロは身を捩った。
半ば習慣のように二人の間で繰り返されてきた行為・・・でも、その日だけは“何か”が違う気がした。自分のすぐ側にある体温も、肌を滑り降りる指も、胸の飾りを啄んでいる唇も、いつもよりもどこか優しい。
「あ・・・っ―――」
唇と舌で愛撫をほどこしていた場所に歯を立てられ、痛みと・・・同じくらいの快感に声をあげる。
優しいと思った途端これなんだから―――
やや乱暴なシャアの行為に苦情を申し立てるつもりで、アムロはシャアの派手な金髪に指を絡ませ、少し強めに引っ張った。
「いたたた・・・何をするんだ?君。痛いじゃないか」
「俺だって痛かったよ」
眉を顰め抗議するシャアをアムロも拗ねた目で睨んでやる。するとシャアはニヤリと笑って、
「でも、痛かった“だけ”じゃないだろう?」
そんな言葉を口にしながら、既に反応を見せ始めていたアムロの下半身に視線を向けた。真っ赤になったアムロがそれ以上何か言う前に、そこへ手を伸ばす。
「や・・・ァ―――あんた、ズルイ・・・」
優位な立場をちらつかせるシャアの態度が余程悔しいのか―――アムロは甘い悲鳴をあげながらも上目遣いに睨み付け、指を絡めた相手の髪を今度は手前に引っ張って、目の前に現れたシャアの耳に噛みついた。
「―――――っ」
それはもう結構きつく噛みつかれシャアはまた痛みに眉を顰めたが、同時に初めて抱いたアムロを思い出していた。
そう―――自分がはめていた指輪を指ごと食ってしまったアムロのことを。
そして、同時に、何故自分が不覚にも男相手に“愛の告白”などといものをやらかしてしまったのかを悟る。
可愛く思ってしまうのだから仕方がない―――色々な意味で。
シャアはそのままアムロを達かせてやると、その指をもう少し下の・・・一月ぶりに自分達が繋がるための場所へ移動させた。
耳元で聞くアムロの声を心地よいBGMにしながら。
「私は返事を聞かせてもらっていないのだけれどね?」
何のことだ?とばかりに視線で問い返したアムロに、
「私はちゃんと告白しただろう?それに対して、君の返事をまだ聞いていない」
唐突なシャアの台詞。
「返事ならちゃんとした」
ってか、こんな時に言うなよ―――アムロがそう思うのも当然で、今、二人は繋がったばかりなのだ。
「いいや、あれは正式な返事とは言えないね」
シャアは意外と頑固に主張し続ける。そして、いい事を思いついたとばかりにニヤリと笑った。
「返事をくれないならこのままだよ」
「―――――っ!?」
台詞の意味を察してアムロが真っ赤になる。怒りと羞恥心と半分半分で。
「やる気がないならどけっ!」
「そりゃあ、君。やる気はあるよ。当然だろう?」
このままでいるのは私だって辛いのだから早く返事をくれ、とそうまで言われるとアムロは怒りを通り越して呆れるしかなかった。
自分も我が儘な方だけど、こいつには負ける・・・
しかし、そのまま素直に負けを認めるのも癪で黙り込んでいると、焦れたシャアは軽く腰を使ってアムロの弱点を突き上げた。アムロが登り詰めようとすると動きを止め、熱が引いてきたのを見計らうとまた突き上げる。
「や・・・ァ・・・も・・う、やだって・・・」
生殺し状態のまま焦らされてアムロは半泣きになりながらふるふると首を振った。仕方なく・・・といった感じでシャアの質問に答えを返す。でも、肝心な事は言ってやらない。
―――少なくとも、こんな場面では。
「どうしても返事が聞きたいんなら、コウに聞けよ」
だって、コウには言った。自分がシャアのことをどう思ってるのか。
「・・・・・何故そこにコウ君の名前が?」
「さあね。それもコウに聞けば?」
もうそれ以上は何も言わないぞとばかりにそっぽを向いてしまったアムロを見て、今度はシャアの方が負けを認めた。このままだと、自分の方が辛くなりそうだ。
「分かった。今回は諦めよう」
溜息と共に呟いてシャアが動きを再開する。今度は最後まで。
もちろん、シャアには分かっていた。
コウにそんなことを聞けるはずもなく、第一、聞いたとしてもコウは絶対に答えないだろう。
(2002.10.06)
■コメント■
すみません。色々な意味でスミマセン(><)
ああ、でももうこーらぶ様は『共犯者』ですからね(ニヤリ)。返品不可でございますよ(脅迫っ!?)
2002/10/10
チィーす、共犯者でーす(爆笑)!
・・・・・ええ、一本くらいあるのではないかと思っていたのではないでしょうか、皆様!
・・・・・ありました!アコさんがやってくれました、というより私が明らかに脅迫しました(><)!
ええ、ええ、私がみんな悪いんです!だけど、めっちゃ幸せな幸せな気分にひたれたからいいのです!
ある意味、かつて無かったものをくださって、本当にアリガトウゴザイマス、アコさん!
そして、皆様はどうですか・・・・!!幸せな気分になりました!?(とくに私の彼氏/笑!!←アコさんの大ファン)
さて、事態を説明しましょう(笑)。アコさんが、「おくりび。」の方を送ってきてくださった時に、
「ちょっと『おんがく。』直後のえっちばなしも書いてみたくて・・・」というようなお話だったのですよ。
それでこーらぶは、「それなら是非書いて下さいよ!」って答えたんですね(笑)。さすが会長!言うことが違います。
そしたらアコさん、何を遠慮なさったのか、最初本番のあまりないバージョンを送ってこられて、思わずこーらぶが
電話してしまったのでした(笑)。
「アコさん・・・・これめっちゃもったいないわ、コウの「にぶくない・・・!」とかアムロの「あー、やばいな、
俺・・・・」とか最高やのに・・・ここまで前振りして・・・・」
『えっ・・・・』
「もうちょっとこう、『・・・あっ』とか増えへん?」
『・・・・・・・・・・・・・・・』
・・・・・というわけで、この話は出来上がったんですね(笑)!!!いやあ、私ときたら
なんてことを人様に頼んでいるのでしょう(爆笑)!!しかし、絶対にこのバージョンの方が素敵だと
私は信じています!シャアが考えていることとか、最初の告白のこととかまで入れていただいて、
本当に大事に「ばらいろ流」にやっていただいた、大切に書いていただけた、というので
感動するばかりです。・・・・・やっぱ、会長は会長ですね!!
ここまで、この設定と作品を愛していただけて、そして楽しんで書いていただけて、
私はもう言葉も無いです。
・・・・・アコさん、ほんとうにほんとうにありがとうございます!あと、無茶言っちゃって
ごめんなさい(笑)!!
こんなこーらぶですが、これからもよろしくお願いいたします〜〜〜(><)!
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