ボーイズラブゲーム、『学園ヘブン』の製作元のサイト様はこちらです。18禁ですので、御注意ください。
なお、この小説は何処までもリクエスト主であるはるなさんが面白がってくれたらなー、っていう主旨の元に書かれており、それ以上にあまり意味はないです。
ごめん(爆笑)!!←男らしく。


2005/01/10 お題:赤城さん

 ばらいろ小咄。『学園ヘヴン』(後編)

 今、『学園ヘヴン』をやってるんですけど、というアムロの言葉に対するミハルの返事は、大爆笑だった。
『・・・・・・なんでー!!??なんで、アムロ君が「学園ヘヴン」やってるの、あはははは・・・!!』
「・・・・いや、コウも一緒に、」
 ここで、更なる大爆笑。
『・・・・・で?・・・・それで、何が知りたいの??・・・・なんでそんなのやってるの、それも男二人で、本当にわけ分からないよー!』
 ミハル先輩と言うのはカイさんの彼女で、うらやましいくらい仲がいい。学部は違うのだが新聞部で出会ったらしく、カイさんとはほとんど同居同然だ。そして、毎日カイさんが持って来る愛妻弁当は工学部の男共にとっては羨望の的だった。
「これが・・・・話すと長くなるんですけどね、まあ、魔がさした、っていうか・・・・ともかく、もっと簡単にクリア出来ると思ってたんですよ!」
『別に難しくはないんじゃない?』
「・・・・・いや、難しいって、男にとっては・・・・!」
 携帯で話すアムロに顔を近付けて、一緒に話を聞いていたコウがそう言ったのが、向こうにも聞こえたらしく、またミハルさんが笑っているのがわかる。
『・・・・・あははは、ほんとおかしい、でも、難しいって言っても18禁のPC版やってるわけじゃないんでしょ?』
「・・・・・・・・PC版は18禁なんですか、コレ!?」
 アムロが叫び声を上げた。その台詞に、コウも唸った。
『PS2も、最初に発売されたのは18禁だったと思ったけどな・・・・最近だよ、15禁のバージョンが出たのは。でも、内容がヤバいから・・・っていうんじゃなくて、ギャンブルのシーンがあるから、とかそんな理由だったと思うんだけど・・・・。』
「・・・・・ミ、ミハルさんなんでそんなに詳しいんですか?」
 コウは思わず携帯に向かって、素直に聞いてしまった。見ると、アムロは聞くなよそんなこと!という苦い顔をしている。電話の向こうからは、また大笑いする声と、おまけにカイ先輩の「なんだよ、長くなるのかよー」という声まで聞こえて来た。
『まあ・・・・そうか、そうね、これカイの電話だから、私の携帯番号今言うからさ。そっちにかけ直して・・・・カイ、あんた先に風呂入っちゃいなさいよ!』
 ・・・・・・なんだか良く分からないが、ミハル先輩最強、である。
「ありがとうございます、すぐかけます!」
 アムロは電話番号を聞いてそれだけ言うと、急いで一回電話を切ったのだった。



「・・・・良かったな、ミハルさんが詳しくて!でもなんでミハルさんがこのゲームに詳しいって知ってたんだ、アムロ?」
 あー、それは・・・・と、アムロがミハルの電話番号を入力しながら答える。
「・・・・・勘だ。」
「勘!?・・・・・勘ってなんだよ、そんなので本当に分かるのか?」
 コウは解せないらしい。細かく説明してやっても良かったのだが、面倒臭いのでそれはやめた。
「・・・・・・だから・・・・前にミハルさんとゲームの話をしたときに、アンジェリークやときメモGSの話になったんだ・・・・・だから、その系統のが好きなのかな、と思って・・・・それでさ。」
 本当はもっといろいろに、女性向けゲームの話もしたのだが、そのあたりは説明しないでおく。コウはしきりに首をひねっていたが、ともかくもう一回コントローラーを掴んで、テレビの前に二人で座り込んだ。・・・・気付けばもう日曜になっていた、長い夜になりそうだ。
「・・・・・もしもし、ミハルさん?」
『はいはいアムロ君とコウ君。・・・・ちゃんとメモリー探し出したから、今私もゲームスタートさせるね。・・・・で、どのルートが難しいって?』
「・・・・・・中嶋さんです・・・・・・・」
 また、電話の向こうからミハルの笑い声が聞こえて来る。・・・・・長い夜になりそうだ。そして、長い電話になりそうだった。



「・・・・・・・・・・あ、これ、このまま終わりそうだ!」
「・・・・・ほんとかよ!」
 ミハルからのアドバイスは簡単で、一回グットエンディングと思われるものにたどり着けたら、その他のエンディングは最後の方の選択肢を少し変えるだけでたどり着けるし、シーンリストに追加される場面が一番多いのもグッドエンディングに続くルートのはずだから、リストもかなり埋まるはず、というものだった。
『・・・・どう?』
「うん、終わりそう・・・・・って、うわー!」
 アムロが叫んだ。
「うわー!!!」
 コウも叫んだ。ミハルさんに説明を聞きながら、時には次にどんなシーンが来るかを聞きながら、注意深く、かつ最短で『中嶋さんルート』を突っ走ったつもりだったのだが、やはり中嶋さんルートは恐かった。時間はすでに夜中の三時近く。
「・・・・・いやだ、この人とこの先付き合って行くなんて・・・・」
「逃げろ、逃げた方がいい、伊藤啓太!!」
「ばか、聞こえてねぇよ、啓太には!!」
 エンディングまで余すところ無い恐ろしさで、二人はしばらく呆然としてミハルさんにお礼を言うのも忘れていた。・・・・・しかし、おそらくこのゲーム最大の難関を今、超えたのである・・・!!
『・・・・・良かった、それじゃあとは何度か頑張ってやり込めば、リスト全部埋まると思うしさ・・・・』
 根気よく付き合ってくれたミハルさんのそういう声が電話から聞こえて来て、アムロは急に我に返った。コウは、まだちょっと興奮しているらしく、ベットの上で「もうちょっとだ!もうちょっとで終わる!」と暴れている。
「・・・・ああ、ミハルさん!今日は本当にすいませんでした、あの・・・カイさん怒ってないですか。」
『え、カイ?ははは、とっくに寝ちゃったよ〜。』
「このお礼はいずれ・・・・」
 アムロが申し訳なく思ってそう言うと、ミハルはなかなかとんでもない事を言った。
『いいよ、いつも楽しそうなアムロ君とコウ君見てるだけで私は楽しいからさ〜。あ、でも「学園ヘヴン」をやってる二人は、是非近くで眺めて見たかったかもなあ・・・・。』
 どこか含みのある言い方である。・・・アムロは少し悩んだが、正直に答えた。
「いや、でも俺とコウ・・・青い顔したり、叫んだり、布団のなかに逃げ込んだりしながらゲームやってるだけですけど・・・・」
 ミハルから返事が返って来る前に、何故かハイテンションのコウがアムロの携帯を奪い取った。
「・・・・ミハルさん!今度カラオケに行きましょうー、俺何度も聞いたからこの歌、憶えた!・・・・ほ〜ら〜つないだ手が〜僕たちのやく〜そく〜♪・・・・・」
 ・・・・もうめちゃくちゃである。アムロが少しため息をつきながら電話を取りかえすと、ミハルさんはまだ大笑いしているみたいだった。・・・・・ミハルさんがいい人で本当に良かった。そう思いながら、アムロは電話を切ったのだった。



「・・・・・・さて、」
 電話を切ったあとでアムロとコウは部屋の向かい合って座った。
「・・・・・・最大の難関はクリアした。・・・・あとは、会話を出来るだけスキップしながら、何度かやり直せばシーンリストはコンプ出来ると思うんだけど・・・・どうする?このまま、ぶっ続けでやるか?」
「・・・・・・最短でも、一回三十分くらいはかかるよな、ミニゲームとかあるし・・・・うーん・・・・・」
 時計は午前三時過ぎ。・・・・・アムロにとっては、『学園ヘヴン』と共に過ごす二日目の晩である。ゲーム制作者の方々にとっては、失礼この上ないプレイ方法でここまでやってきたが、さすがに二人とも叫んだり驚いたりで疲れが溜まって来ていた。
「・・・・・・寝るか。」
「うん・・・・・。」
 結局、ゲームをやり始めてから初めての、まともな睡眠を取ることを二人は選択した。
「・・・・・・一緒に、ベットで寝る?」
「・・・・・・いや、別でいいよ、大変なものをたくさん見たので、今日は胸がいっぱいです・・・・。」
 アムロがベットで、コウがその脇の床に寝転がって布団をかぶる。・・・・アムロとコウは泊まりになる時、いつも一緒のベットや布団で平気で寝て来た。・・・・が、このゲームのせいでしばらくは恐ろしくて、一緒に眠れそうもないよなあ・・・・と、アムロは身体を丸めながら、なんとなくため息をついたのだった。



 次の日、つまり日曜日、目が覚めたのはお昼の十二時近くになってからだった。
「・・・・・・・うっしゃ、」
「それじゃ片付けるか・・・・・!!」
 またしてもコウが買って来たコンビニ弁当で、腹ごしらえをして、準備は万端である。・・・・あとわずか。本当にあとわずかで、シーンリストが全て埋まる・・・・それは、ゲームそのもののコンプリートを意味していた!!
「ほ〜らつないだ〜手が〜僕たちのやく〜そく〜♪・・・・」
「・・・・歌うな。」
 コウも随分このゲームになれたらしく、となりでアムロがプレイするのを見ながらテーマ曲を歌っている。
「・・・・いいじゃんかよ、歌くらい歌ってもさ!・・・・『俺、さっきこの学園についたばっかりなんだけど、途中でバスが事故にあっちゃって・・・・』」
「・・・・・台詞を読むな!」
「いいじゃんかよ、台詞くらい読んでもさ!」
「よくねぇよ、なんか面白いだろ!」
「『OK、和希。』」
「『よろしく、啓太。』・・・・・って、俺も言っちまったじゃねぇか!」
「じゃ、台詞きめるか、配役。・・・・アムロ、誰の台詞読む?」
「やんねぇよ、音声切ってる意味がねぇだろ!!」
「ノリが悪いなー。」
 ともかく昨日の悲愴感とはうらはらに、二人はゲームをスタートした・・・・良くも悪くも、この世界に慣れてしまっていたのだった。そうしておそらく、後数時間でシーンリストは全て埋まり、このゲームから解放される・・・・。そう思うと、台詞を律儀に読んでしまうコウほどではなくても、アムロもわくわくしてくるのだった。



「やっ・・・・た?」
「・・・・・・終わった?」
 エンディングを途中でとめて、最後に表示されるシーンリストを確認する。・・・・43/43。・・・・・コンプリート。・・・・コンプリートである!
「・・・・・・終わったぁあああああ!!!」
「やった、アムロ、俺うれしいっ・・・・どうしよう、嬉しい!」
「コウがいなきゃ、俺諦めてたよ、ありがとう、コウ!!」
 時間は午後三時を回ったところ。金曜の夜に始まった『学園ヘヴン』攻略マラソンは、日曜日のこの時間になって、やっと終わりを迎えようとしていた。
「あぁ〜、これでやっとベルリバティーから卒業出来る〜!!」
「俺達入学して無いけどな〜。」
「あと、なんかおまけってのがあったよな、それだけやって、それだけやったら・・・・」
「ほ〜らつないだ〜手が〜僕たちのやく〜そく〜♪・・・・」
 二人は本当に手を繋いで、抱き合って部屋中を飛び回った。
「・・・・それだけやったら、シャアに見つかる前に、このゲームを売りにいかないと!」
「・・・・・・・・・・・・誰に見つかる前に、だって?」



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?



 驚いて二人が振り返ると、部屋の入り口に今帰って来たばかりらしい、シャアが立っていた。
「・・・・・・・い、」
「いつの間に、シャアさん!?・・・・お、おかえりなさい!」
「はい、ただいまコウくん。・・・・何をしていたんだ君達は。すごい有り様だな、部屋が・・・まあ、いつものことか。」
 と、正気に返ったアムロは慌ててテレビの電源を落とそうと試みた。コウも、すぐに気付いてゲームのパッケージを拾おうとする・・・・が、シャアの方が一瞬素早く、説明書を拾い上げてしまっていた。
「・・・・・ゲームをやっていたのかい?・・・・二人で?」
「・・・・・いや、あの、だからな、シャア・・・・これには、事情が・・・・・!」
 冗談じゃ無い!・・・・アムロは思った。通常の成人向けエロゲーをやっては、面白がってアムロにいろいろ言って来るシャアである。こんなゲームが・・・・『ホモゲー』が、この世に存在していることを知られたら、あまつさえそれをやっていたことがバレたら、あとでどれだけからかわれることだろう!!
「・・・・・・あれ、このゲーム・・・・・」
 ところが、コートを着たままで説明書を覗き込んだシャアの口から出て来た台詞は、もっととんでもないものだった。
「そうだ、『学園ヘヴン』だな。・・・・私もやったことがあるぞ。」



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハイ?



「プレイステーション版ではなくて、18禁のパソコン版の方だが、」
「・・・・・って、はいっっ!?いつ、なんで・・・・!!」
 アムロが呆れてそう聞くと、シャアはあっけらかんとこう答えた。
「君が買って来たんじゃ無いか。・・・・憶えて無いのか?」
「・・・・・・アムロ・・・・・?」
 コウが疑いの目で自分を見ている。・・・・身に覚えがない。無いったら!そこで慌てて反論した。
「買ってねぇよ!絶対買ってない!」
「ああ、厳密にはこのゲームだと思って買わなかったんだろうが・・・・福袋に入っていたんだよ。18禁ゲーム五本パック、か何かの。・・・・前にエロゲーがそんなにやりたいんなら、これでもやってろよ!って買って来たことがあっただろう、君。」
 ・・・・恐ろしいことをサラリと言う男である。
「・・・・何、つまり・・・・?」
 コウが首をかしげているので、アムロは誤解のない様に説明してやることにした。・・・・確かにそんなことがあった。
「・・・・・そっか、シャアがあんまりエロゲーエロゲーうるさいから・・・・叩き売りしてた18禁ゲームの福袋みたいなのを、買って来たことがあったんだ。・・・・その中の一本がこれだった、ってことなのか?」
「そうだ。ま、内容はともかく18禁には間違い無いから、紛れ込んだんだろうな・・・・懐かしいな、そうそう、宝塚みたいで面白かったのを憶えている。」
「あ、それ、俺も思いました。シャアさんも宝塚みたい、って思ったんだー。」
 なんともいえず、ズレた返事をコウがしている。・・・・アムロはあまりの疲れにその場に座り込みそうになった。・・・・しかしシャアはコートを脱ぐと、マイペースにベットに座り込む。
「日本は凄い国だなあ、と思ったよ、キリスト教国では同性愛がテーマのゲームなんてありえないからねぇ。」
「シャアさん、全部プレイしたんですか、中嶋さん平気だった?俺とアムロは、中嶋さんが恐くて恐くて・・・・」
「コウ、余計なことをシャアに言うな!」
 アムロが慌ててコウを止めようとしたが、既に遅かったようだ。
「中嶋・・・・?って、ああ、この眼鏡をかけた人だね。」
「そうなんだ、それで恐くて、ミハルさんにクリア方法を教えてもらいながらやったんです。」
「私は平気だったけどなぁ・・・・」
「凄いな、シャアさん!」
 コウはまたズレた返事をしている。アムロはどうしようかと思ったが、とりあえずゲームの電源を落としてから、話の輪に加わった。
「・・・・コウは篠宮さんが好みのタイプなんだってさ。」
「そんなことは言ってないだろ!」
「篠宮。・・・・ああ、弓道部の子だね、寮長さんだ。・・・・・・コウくんの好みは分かりやすいな・・・・」
 シャアはにこやかに笑いながら、まだ説明書を見ている。それから、こう言った。
「そうだな、私がどの人物もまあ平気だった理由はあれだ。・・・・この学校は、確か高校だったよな?」
「そうだけど・・・・・」
 すると、シャアは満足気に頷いてこう続けた。
「・・・・だからだよ。どんなにとんでもない性格でも、私から見たら・・・・みんな子供だ、別に恐くはないよ。」
 ・・・・言われればなるほどなあ、とも思うのだが、ではシャアには中嶋さんが可愛く見えた、とでも言うのだろうか。
「・・・・いや、まてよ?先生がいたな、先生は年上かな?」
「海野先生は二十四歳のはずだから、同い年だろ。」
「じゃ、やはり恐くはないな。・・・・ゲームの中のキャラが『恐い』だなんて、二人とも純真だねぇ。」
 ・・・・・・馬鹿にされている気がする・・・・・というか、他の意味でも恐いだろ、普通の男がこのゲームをやったら!とアムロは思ったのだが、コウがやめれば良いのに更にシャアに聞いた。
「・・・・じゃ、シャアさん気に入った人はいた?・・・・逆に。」
「・・・・とんでもないことを聞くな、そりゃ付き合いたい人、ってことかい?」
 ついにシャアが吹き出した。アムロは、もう一回コウに「やっぱ篠宮さんが気に入ってるんだろ・・・」とツッコんだ。
「残念ながらそれもいないなあ。・・・あんまり主人公に感情移入出来なかったからね、した方が良かったかい?」
「・・・・・えー。そんなことはないけど・・・・アムロも得に気に入った人いないみたいだし、なんか俺ばっかりこのゲームハマったみたいで嫌じゃんか・・・・。」
 コウが機嫌を悪くしてぐちぐち言っていると、シャアが面白そうにこう続けた。
「・・・・そうだな、気が合いそうだから話をしてみたい子ならいたが。」
「・・・・へえ、誰?」
 これは思わず、アムロも聞いてしまう。すると、シャアは説明書を見直して指差した。
「・・・・・確かこの子だ。・・・・日仏のハーフだったよな?」
 ・・・・七条さんである。・・・・・凄い人を名指しするものである。
「どうして七条さん・・・・この人も恐いけど・・・・どっちかっていうと・・・・・」
 コウがアムロの気持ちを代弁するようにそう言った。
「いや、理由は簡単だよ。この子は確かトリリンガル(三カ国語が話せる)だったよな?それも、日、仏、英の三カ国語だ。・・・・私とまったく同じなんだよ、きっと気があうはずだ。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
 その、凄い理由にアムロとコウの二人は言葉が出てこなかった。・・・・会計室にシャアがいたら。・・・・思わず二人とも頭を振って、その妄想を追い払った。・・・・・・女王様と七条さんと一緒に、シャアが会計室にいてもまったく違和感がなさそうである。・・・・ある意味恐い・・・・。
「・・・・・でも、同じ言葉を話すから、って理由でそんなに気が合うものかな。」
 少し経ってから、コウがそう言った。・・・・夕暮れが近付き、外はもうだいぶ暗くなって来ていた。
「何故そう思うんだい、コウ君?」
 シャアが不思議そうにそう聞く。すると、コウは考え込みながらも、素直にこう答えたのだった。
「・・・・・だって、ガトーも日、仏、それから英語もかなり・・・・話せるけど、あんまりシャアさんと気があっていないような気がする。」



 ・・・・・・・・・・激しい沈黙。



「・・・・・そう言えばさっき、ちょっと留学生会館に寄ってからここへ戻って来たのだが・・・・」
 しかしシャアはコウの台詞にまったくめげずに、にこやかにこう言った。
「・・・・・ガトーが怒り狂っていたぞ?昨日の朝、電話でアムロに呼び出されてから一回も連絡を入れていないらしいな、コウ君。・・・・・ちなみに、大量の料理と共に怒っていた、君達二人が来るのでは無いかと思って食事を作り過ぎた、とね。」
「・・・・・!!」
 それを聞いてコウは大慌てで玄関を飛び出しそうになった・・・・・ヤバい!・・・・忘れてたよ、ガトーのこと、本当に!!実際、靴を適当にひっかけて一度玄関を飛び出したのだが、すぐにもう一回戻ってくると叫んだ。
「・・・・・二人とも一緒に来るだろ、俺一人じゃめちゃくちゃ怒られるし、それから・・・・・・料理も食べ切れないよ!!」



 もちろん、シャアとアムロの二人もコウと一緒に夕食を食べるため、留学生会館に向かうことにした。



 さて、ちなみにアムロは『学園ヘヴン』をプレイして気に入った人物が特にいなかった・・・・という問題だが、実際には一人、ちょっと気に入ったキャラクターはいたのである。
「・・・・ああそう、ちなみに、あのゲームの中でそんなに気に入った子はいなかったけど、『なってみたい人間』ならいたな。」
 京都市内に、留学生会館に向かって乗った電車の中で、シャアが急にそんなことを言い出した。
「『なってみたい』?」
「それはつまり・・・・付き合いたい、とかじゃなくて、このキャラになりたいな、ってこと?」
 アムロとコウが聞くと、シャアは頷く。
「そう。・・・・あのゲームの中で、自分が誰かの役をやれる、というのなら、私は理事長になりたいよ。」
「・・・・・鈴菱 和希?」
「そう。」
「・・・・・なんで?」
「・・・・・・・・あの世界の最高権力者だろう、きっと気分がいいに違い無い。」
 ・・・・・・・・コウは、もうシャアさんの話は忘れて、夕飯のことだけを考えることにした。そしてこの瞬間、アムロの気に入ったキャラクターは永遠の謎になった。・・・・というか、永久に語られることはなくなった。
 アムロが気に入ったキャラクター、それこそが和希だったからである。・・・・でも言わない。和希になりたい、なんて言ってるシャアの前で、ちょっと和希が気になった、なんて絶対、口が裂けても、言えるものか!!



 後日、アムロとコウはミハルさんと一緒にカラオケに行った。そして、『学園ヘヴン』のテーマ曲を心から熱唱して、ミハルさんに喜んでもらった。・・・・あと、コウは一度、ガトーのことをうっかり「篠宮さん」と呼んでしまい、ガトーは実に不思議そうに首をひねっていたのだが、それはまた別の物語である。

         






■お題リクエストは赤城はるなさんです!■

・・・・お、終わりました・・・・・・。
わたし、いま、いろいろに不安です・・・・・。出来るだけ楽しんでもらえるように、
出来るだけ『学園ヘヴン』のファンの方に失礼にならないように、と思って書いたのですが、
すごく力不足に終わった気が・・・・・(ヘコミ)。
改めて、すいませんでした、はるなさん!
ゲームは本当にやりましたし、恋愛シュミレーションというのをやるのが初めてだったので、たいへん楽しかったです。
あと、プレイする前から、はるなさんが参加なさっていた商業同人アンソロを一冊買ってしまっていて(笑/やったことない
ゲームのアンソロ本を買ったのは初めてです、さすがに)、それもあって、本当にやりたくてしかたのない
ゲームだったんですよね(^^)。なので、これでお題クリアになっていないようでしたら、
ダメ出しは『学園ヘヴン』のキャライラスト、とかでお願いします、はるなさん・・・・(笑)。
また、機会があったら、「こーらぶのボーイズラブゲーム初めて日記」とかで学園ヘヴンの純粋な感想も
書いてみたいです(笑)。では、改めてはるなさんに捧げます、リクエスト有り難うございました・・・・!!





2005/01/10




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