+ 箱の中 +
(独房というのは至極機能的に作られてるよなぁ・・・。)
と、コウ・ウラキは回りを見渡して思った。
彼は今、アルビオンの独房で
モビルスーツを無断使用した他モロモロの罪の反省を強いられている。
寝るためのベッドと排泄するためのトイレ。
食事は時間になればドア越しに差し入れられ、
自分以外の顔を見ずに物事が完結する。
1週間の独房入りを命ぜられてまだ3日。
・・・・・・先は長い。
気が狂いそう、
というのは大げさだが、
それほどにすることがなくて
時間を持て余してばっかりいる。
この中では外の様子がまったくわからないが、
親友のチャック・キースがときどき現れては、
話しをしていってくれる。
なんでもアルビオンはアフリカ上空に達しているらしい。
ガトーと2号機はまだ見つからないそうだ。
索敵にはどうしても人手が必要だから
艦長はコウとモンシアの刑期を短縮するかもってのが
キースの読みらしい。
・・・だといいけど。
(アフリカか。)
そういえば、アフリカに来たのは初めてだ。
日差しが強いんだろうか。
大地は赤くて乾いてるんだろうか。
それともさらさらの砂漠か。
アルビオンの形に動いていく影。
ライオンがいる。
象もシマウマも。
2号機がたくさんの動物たちを従えて
歩いていく様を想像して、
・・・笑ってしまった。
不意に尿意をもよおして
便器の蓋を上げる。
渦巻いて流れていく水は
どこへ消えていくのだろう。
無為の時間。
とりとめのない思考。
ここから出られたら、
絶対ガトーを見つけてやる。
(・・・だから、まだ見つけないで欲しい。)
と、思ってしまうのは、ダメだよな。
うーん、とひとつ伸びをして
コウは見えない天井を見上げた。
それから頭を横に振って
晩ご飯はなんだろうと思った。
・・・ニンジンが入ってなきゃいいけど。
そんなことを思った。
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