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・・・・・・・・・サヨナラ。
混乱の年だった。
ジオン・ズム・ダイクンが亡くなり、
父の乗ったシャトルが爆発事故にあい、
・・・そのまま、二度と会うことはなかった。
つい昨日、
『行ってくるよ。いい子で待っておいで。』
『・・・やめてよ。』
(もう10歳なんだから、そんな子どもみたいな言い方)
それから、頬にキス、バイバイ。
・・・・・・・・・もっと抱きしめてもらえばよかったのに。
母の時と違い、実感のないまま、施設に行くんだろうと思っていたら、
父の父だという人が現われた。
父と同じような大きな手をしていたけど、
父と同じように手を握ってはくれなかった。
国防軍時代からの生え抜きの軍人、
ザビ家の信頼も厚く、
現在も軍の要職にあるという。
引き取られた先は、お屋敷としか呼べないような広い家。
執事や召使が傅く生活。
一人ぼっちのはずが、まだ家族がいた。
それはとても嬉しい、ことだったのに。
・・・祖父との生活は、その後、一度たりとも抱きしめられずに終わった。
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(2001.10.30)
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