パープルレイン
・・・・・・・・・目が覚めると、まだ雨音がしていた。
狭いベッドの中で、宙を見る。
それから隣の男の顔も。
ああ・・・・・・・・・、
寝ちゃったんだよなーっ・・・と。
身体に残る傷は、情事の痕にはほど遠く、
オス猫の喧嘩の後みたいだ。
向き合うと、俺より顔が大きい。
・・・そうだよな。背がこんなに違うんだもんな。
ふだんそんなに意識することはなかったけど、
いつだったかハイウェイのパーキングで、
防音壁の向こうの海を見ようとしたら、
隣はらくらくと。
俺は背伸びしても届かず、飛び上がるハメに。
くすっと鼻で笑われた。
横になって眠る胸には、谷間ができてる。
・・・谷間って、なんだか女みたいだ。・・・・・・・・・怒られそう。
脇から胸筋が圧されて、谷間っぽく見えるんだってば。
これは男として単純に悔しい・・・時もある。
うらやましい時も。
ちゃんと筋トレやってるんだけどなぁ・・・。ちっ。
顔と首に流れる銀髪とそれから銀の眉毛と睫毛と、
・・・じっくり見なかったけど、
暗かったけど、
たぶん下も・・・。
真黒な俺と違って、夜目にもぼぅとそこだけ浮いて見える。
こんな髪の色した人は・・・あまり見たことないなー。
おまけにサラサラで櫛もいらない感じ。
俺がここまで伸ばしたら、
・・・・・・・・・、
・・・・・・・・・、
・・・・・・・・・、
ぐるぐるのぐりぐり?
う・・ん、と一言。
そしてまぶたが開く。
のぞく紫の瞳。
切れ長の目に品よく納まった虹彩。
儚げで綺麗で、
その目を通して見る雨は、
紫いろに見えるんじゃないかと、俺は・・・・・・・・・。
俺と全然違う男。
(けど欲しい)
主義も選んだ道も全然違う男。
(けど欲しい)
それは見目形じゃなく、
属する処でもなく、
心のどこかもっと奥深いところで、
俺たちは似てる。
・・・・・・・・・絶対似てると思う。
(だから欲しい)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・目を瞑っても、まだ優しい雨音がしていた。
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後朝のつぶやきでした(笑)。
おはよう(・・・と言っとかんと)。
管理人@がとーらぶ(2002.08.14)
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