彼の王国




















真夜中のドライブが好きだ。





ハンドルを握る意外と細く長い指の動きをじっと見つめたり。

触れたくなったら手を伸ばして長い銀髪を引っ張ってみたり。



『ガトー』って呼んで、目と目を合わせてみたり。

それで、なんだか恥ずかしくなって、下を向いたり。



・・・そしたら、ガトーが目立たない場所に、車を止めてくれるんだけど、二人ともなぜか黙り込んで。



なんだか勝負してるみたいな気分。

先にキスした方が負け。



今の所、7割はガトーが勝ってるけど。



・・・・・・・・・そうだよ。

俺が先にキスしちゃうってこと。





昼間には、決してできないことも、この闇の中でなら。





そして時には、

「・・・抱いて。」

ガトーは困った顔をする。



彼の困った顔なんて、ほとんど見られないから、さっきの負けを取り戻した気分。

別に抱いて欲しいわけじゃないけど、わざと言ってみる。



・・・でも、そんな姿につい笑っちゃうから、俺の考えてることなんて、ガトーにはバレバレ。



『抱かんぞ。』

と言いながら、唇を重ねてくる。



のしかかる彼の体が薄いシャツを通して熱を伝える。

舌が熱くて、指先が熱くて、あっという間に、耐えられなくなる。



『否だ。』

熱い息と共に、耳の奥に押し込められる彼の声。

反響しちゃって、どうしようもない。



『・・・・・・・・・』

無言の舌が首筋に伸びて、・・・だめ、弱いんだよな、俺。



一番感じるところは、まだ触れられてもいないのに、もう熱く硬くなって。





・・・・・・・・・バカだよなー。

負ける喧嘩を売っちゃうなんて。





止まらなくなって、ガトーの手が俺の座ってるシートを後ろに倒したりするんだけど、

『・・・痛ッ。』

膝小僧だの、頭の天辺だの、あちこちぶつけて。

どう考えても、俺たちに車の中は狭過ぎる。



で、なんだか二人とも大声で笑い出したり。

・・・・・・・・・そういうのも楽しかったり。





結局、マンションに帰るまで待てなくて、モーテルに寄ったりしてさ。



部屋に入ると、ドアロックもそこそこに、激しいキス。立ったまま。



抱きしめられると抵抗できない。

だって、身長差があり過ぎ。

・・・ついでに力も違い過ぎ。悔しいけど。





爪先立ちで床の上を踊るようにして、ベッドまで。

ばたんっと大きな音で倒れこむ。



余裕がないったら、二人ともさっさと自分で服を脱いで、



・・・で、見れば、お互いさまなんだ。



どれだけ欲しがってるか、一目でわかって苦笑い。



すぐにガトーが俺のものに口づけようとするんだけど、シャワーも浴びてないから、

「・・・やだ、汚いよ。」

って、でも、



『感じたいのだ。・・・おまえの匂い。』



もう、どうしてそういうこと言うんだろ。

・・・もたないよ。




激しくて、恥ずかしくて、感じてるんだけど、最低で、



・・・・・・・・・最高。










お腹が空いちゃうんだよな。

身支度もそこそこに、部屋を後にして、ダイナーへ車を走らせる。



窓際の席に座って、ネオンとテールランプの光の競演を見ながら、ボーっとする。



目が合うと、お互い、『さっきの姿を知ってるぞ』って、にやりと笑って。

まずいコーヒーも、でっかいだけのハンバーガーも、いつもよりはおいしく感じる。





それで・・・マンションに戻るのかと思ったら、また車を市外に向けて走らせる。





だって、真夜中のドライブが好きだ。



闇の中、ただの二人、・・・ただのガトーと俺だけ。




















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まあ、ガトー様にあんなことさせちゃったんで、こんなことも(・・・泣き笑い)。

管理人@がとーらぶ(2000.11.22)











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