Sympathy















 宇宙世紀0088年1月、長引く戦いの終わりはまだ見えない・・・


 その日、戦艦アーガマのブリーフィングルームでは、ブライト・ノア艦長、クワトロ・バジーナ大尉、ヘンケン・ベッケナー艦長の三人が顔を揃えて、対ティターンズ、ハマーン戦の打ち合わせをしていた。

 目の前のスクリーンには戦艦の配置図が映し出され、指揮棒を手に持ったブライトが真剣な面もちで何か話している。


 クワトロは、トレード・マークになった大きめのサングラスを今日もかけていたが、肌に浮かんだ疲れの色は隠せていない。だが、鼻筋と唇には整った顔立ちを窺わせる線が誰にでも見てとれる。自然のウエーブを残したままの金髪もきちんと手入れをしているのだろう、輝くばかりに波うっていた。


 (んん、まずい・・・)

 簡素な椅子に座っているクワトロの顔が、不意に曇る。

 (ちいぃ、こんな時に)

 身体を少し動かして、あるものをおとなしくさせようと四苦八苦していた。


 「大尉・・・大尉!」

 「え、?」

 「クワトロ大尉!」

 大きな声でブライトが呼びかける。


 「どうかしたんですか」

 「いや・・・何でもない」

 「では、作戦要項はこれでよろしいですね」

 「すまん、もう一度・・・」

 「クワトロ大尉・・・」

 どうやら、ブライトの話を聞き逃してしまったようだ。


 ミーティングの最中に彼らしくもなく、ぼーっとしてしまったのは、実はここ数日で何度目かのことだった。ブライトも、ヘンケンも、遠慮がちではあるがあきれたような顔をしている。

 だが、ぼーっとしているからといって、クワトロが相手では、カミーユやカツのように修正する訳にもいかない。


 一体、クワトロが何に気を取られていたのかといえば、こんな場所で、他人と顔を合わせているにもかかわらず、彼の脚の間にあるモノが、急に勃然としたからであった。


 柔らかく暖かい感触が彼の男根の周りをじわりと覆い、感じやすいその先端から背中の骨髄の上あたりに突き抜けていく、痺れたようなあの感覚を味わっていたのだ。

 生理的反応が抗いようもなく自然と現れてしまったのだが、最近こんな現象が何度か所かまわず起こっていて、さすがのクワトロもちょっと困惑するしかなかった。


 ブライトの声で我に返り、軟らかくなったものの、未だに甘美な感触は続いている。クワトロは、意識的にミーティングに集中して、その感覚を忘れるように努めるしかなかった。



 「クワトロ大尉、何か気になることがあるのなら片付けておいた方が・・・」

 「ん・・・わかっている・・・」

 ミーティングを終えて部屋を出て行こうとするクワトロにブライトが声をかける。さすがに、艦長としてここ数日のクワトロ大尉の態度を見ている以上、何も言わない訳にはいかなかったようだ。

 クワトロもそう答えてはみたものの、何が原因なのか判らないため、生返事であった。















 「ふっっぅ・・・・・・」

 自室に戻って、大きな溜息をつく。ベットに横になると頭の後ろに手を回して、天井を睨んだ。


 (溜まっているということか・・・)

 最後に行為に及んだのは半年以上前になる。あのレコア・ロンドが作戦の一環としてジャブローに潜入する前に抱いたのが最後だった。レコアがジャブローから戻ってきた後、なぜか二人の間はぎくしゃくとして、ベットを共にすることはなかった。様子がおかしいのは判っていたが、彼女が話さないことを無理に聞くクワトロでもない。


 性欲が強い方だと思ったことはない。が、何せまだ20代なのだ。その気さえあれば、毎日だって充分行うことができる。だが、作戦中に何ヶ月女を抱かなくても、これまでこんな状態になったことはなかった。


 (しょうがない・・・)

 今、クワトロが出来るコトは限られている。


 すぐに抱ける生身の女といえば、この艦にはエマ中尉かファ軍曹ぐらいしかいない。だが、彼女たちは後腐れの無い関係を結べるほど大人とも思えなかった。

 他には、彼自身の手で発散させるしか・・・


 ベッドから起きあがると、トーレスだったか、サエグサだったか、彼らが”おすそ分け”だと言って無理矢理置いていったエロティックフィルムディスクを机の引出しの奥から取り出した。


 そんな目的に使ったのは、もう10年以上前のことではないか。常に生身の女に不自由したことがないクワトロである。

 椅子に座り、ディスクを机上の携帯用リーダーに差し込むと、14インチサイズの画面に3D効果を施したフィルムが浮かび上がった。


 (これは・・・あいつ、こんな趣味だったのか)

 クワトロは苦笑する。トーレスが持ってきたそのフィルムは女が縛られて天井から吊されているといった痴態がメインであった。

 白い肌に縄を食い込ませている女たちは確かに扇情的ではあるが、それほど好みではない。仕方なく、カチッ、カチッ、と音を響かせてフィルム進めていくが、なかなか肝心のモノに響いてこなかった。


 あまりにもあからさまなポーズを取るモデルにちょっと顔をしかめながらもそっとジッパーを降ろすと、中から軟らかいままの塊を取り出す。


 とにかく抜いておかないと、まだどこで反応するか・・・ローションで滑らかにした右手でソレを握りしめると、ゆっくりと手を前後に動かし始めた。


 無味乾燥な気分だったが、続けていれば段々と硬くなってくる。


 「う・・・」

 ようやく、反り返って見えるほど起ち上がったモノが、クワトロの手の中で跳ねるように息づいていた。


 「くっ!」

  デスクの下に伸ばした足が自然と突っ張り、腰の辺りが熱くなって、何とかイキそうな気がしてくる。


 いつのまにか目の前にはディスクの女たちではなく、レコア・ロンドの裸体が浮かんでいた。曖昧でいて鮮明な記憶が彼を刺激し、実際にレコアの中に包まれているかのように錯覚する。


 「あ・・・はぁ、は・・・」

 もうすぐ、沸点が近いのだろう。彼の呼吸がずいぶんと荒くなった。赤黒く光る熱い塊の先端からは透明な快楽のシルシが滲み出している。


 「・・・ああ」

 (ラ、ララァ・・・)

 レコアのイメージが突如として懐かしい人、ララァ・スンに変わった。最後に抱いてから8年が過ぎようというのに、その記憶はいつも色鮮やかに甦る。


 「ううう、くっ・・・」

 レコアを抱いている時でさえ、不意にそのイメージが湧きあがることがあった、クワトロには慣れっこになっている。かまうことなく、握り締めているものを擦り続けた。


 だが、次に浮かんだものは彼を驚愕させた。

 「あぁっ!」

 (なに?? カミーユ!!!)

 クワトロの顔に一瞬、怪訝な表情が見て取れる。今までララァの光のない潤んだ瞳が下から彼を見上げていた筈だった。が、”カミーユ・ビダン”の目を閉じて汗を浮べた顔に変わっている。


 カミーユの唇が彼のモノをくわえ込み、舌が表皮を這っている。少年の細く柔らかい線を保った肢体が、一糸まとわぬ姿で四つん這いになり、クワトロの男根を口に含んで必死に動かしているのだ・・・



 「ううっ! くっ・・・あああぁぁぁ!!」

 そんなカミーユの幻影に思わず手を止めようとした瞬間、あの感覚が甦った。ブリーフィングルームで彼を苛めた感覚・・・あまりの快感にクワトロは小さな叫びを残して、限界まで熱く硬くなった塊から白い液体を吐き出す。とうとう、ビクッ、ビクッと震えるその先端から、残った汁を出し尽くすまで、右手を動かし続けた。



 「な、に・・・」

 カミーユの口の中に放出してしまった自分の姿と、それをゴクリと飲みこんだカミーユ姿が頭の中を交錯し、その上、射精後の倦怠感も加わって困惑するしかない。


 (とにかく)

 しばらくは椅子に座りその男根を露にしたまま何も考えられなかったが、ようやく手に付いたヌルヌルしたものを流そうとシャワールームへ向かう。



 ザ−−−−−−ッ

 熱い湯で、自分の体から流れ出たものを洗い流す。艦の中で一度に使える量は限られているが、とにかくさっぱりとしたかった。時間は短くなるが強めに設定して、全身を打たせる。


 (たしかに、カミーユは黙っていれば少女のように見えないこともないが・・・まさかな)

 カミーユを抱きたいと思っているとは考えない。

 (やはり長い間、していないからか・・・ こんなつまらん幻覚も見える)

 そうとしか、今のクワトロには納得できる理由がなかった。


 「ふっ」

 (しばらくは自分で時々、慰めるしかないな・・・)

 自嘲めいた笑みを浮かべて、クワトロはシャワーを終えると、いつもの赤い制服を身に付けた。















 ティターンズが送り込んできた強化人間、ロザミア・バダムとの戦いを終えたカミーユ・ビダンは精神的に相当参っているように見えた。


 偽りの記憶でカミーユを兄と慕った少女ロザミアを、結局はカミーユ自身の手で葬ったのだ。まだ10代の繊細な少年にとって、その行為は彼の内面をどれだけ荒廃させているのだろう・・・


 今も、カミーユがクワトロの眼の前でファと投げやりな会話をかわしている。


 「できることと言ったら、人殺しだけみたいだな」

 ファ・ユイリィはそれには答えないまま、悲しげな表情を浮かべて通路の向こうへと消えた。


 (・・・・・・?)

 その姿を無言で見送るカミーユの肩に男の手が置かれた。

 「あまり気にするな」

 クワトロ・バジーナ大尉である。


 「気にしてなんていませんよ。気にしてたら、ニュータイプなんてやってられないでしょ!」

 「・・・・・・!!」

 だが、クワトロはそのカミーユの言いようを聞いていない。いやカミーユの声を聞いてはいたが、それは全然別の言葉だった。


 大尉・・・大尉・・・大尉、僕を助けて助けて助けて、抱いて、抱いて、抱いて


 肩に触れた途端、そんな叫びが頭の中に拡がる。


 (な・・・に?)

 (また、幻を見ているのか)

 (助けてだと)

 (・・・抱いてだと?)

 (まさか!)

 手を元に戻すことさえ忘れて、クワトロの思考は飛躍する。


 (私はカミーユを・・・抱きたいのか?)

 (だから、こんな声を聞く)

 カミーユの裸体を思い射精した日から、もう何度か同じような幻影を抱いて自慰に耽っている。だが、終わるとそんな自分に嫌気がさし、深く考えないようにしてきた。

 (これでは否定できない・・・)


 だが、

 (いや、これはカミーユの心の叫び? 抱かれたいのは彼の方なのか?!)

 そう思いついたクワトロが思わず、幻ではない、本物のカミーユの顔をじっと見つめてしまった。


 「・・・・・・」

 臆するでもなく、クワトロを見つめ返すカミーユだったが、

 「放して下さい」

 「え・・・」

 「痛いんです、それ」

 カミーユの視線が肩に落とされる。置かれたままのクワトロの手が無意識にぎゅーっとその肉を掴んでいたのだった。


 クワトロが手を放すと、カミーユは無言のまま、リフトグリップに捕まって居住区へと身体を流していく。

 残されたクワトロは小柄な少年の後姿を見ながら、ある決意を固めていた・・・















 「カミーユ、ちょっと話があるんだが」

 そう言って、クワトロがカミーユの部屋を訪れたのは休息時間のことだった。ロザミアとの戦いから生還して3時間ほど過ぎている。


 「何でしょう、大尉?」

 (いつも、まっすぐに私を見る・・・)

 横になっていたベッドから上半身だけを起こして、カミーユが見つめている。眠る直前だったのか、制服を脱ぎ、紺色のアンダーシャツと灰色のブリーフだけを身に着けている。クワトロも観察するかのように、彼への視線を外さず部屋の中へ入った。


 「話というのはだな」(やはり、かわいらしい顔をしている・・・)

 言いながら、さらにカミーユの側に寄る。

 とうとう、カミーユの直前に立つとその両肩をがっしりと掴んだ。


 (んん・・・)


 逃げられないように両手に力を込めて、不意打ちのようにカミーユの唇に自分の唇を押しあてた。

 そのまま、数十秒間が過ぎたが、カミーユは微動だにしない。ほっとしたクワトロが唇をようやく離す。


 「大尉!」

 「えっ!!」

 だが、カミーユ平手がクワトロの頬を打った。今やっと、大尉にキスされたことに気づいたように。だが、クワトロもここで引き返す訳にはいかない。


 「すまんが、こうさせてもらう」

 「うううぅう!!」

 クワトロの拳がみぞおちを狙った。気絶する一歩手前だ。カミーユの息が続かない。


 「確かめずにはおれんのだ」

 カミーユへの弁解と自分を納得させるためにか声に出してそう言うと、そのまま体を倒してのしかかった。


 「んんっ・・・んっ」 ドクン、ドクン

 もう一度唇を重ねると、舌を差し入れる。女たちにしてきたように、カミーユの舌を求めて口の中を探索した。クワトロはその容姿のせいか、男に口説かれたことも何度か経験している。上官が相手なら早々に逃げてごまかしたり、バーで隣合わせただけの男なら一発食らわしてやったこともある。自分の性的嗜好はこれまで、女性のみだと思っていた。

 だが、初めて男とキスしているのに、不思議と嫌悪感はない。


 「た、大尉・・・」

 長いキスを終えると、カミーユがいくらか上気した顔で下から見上げている。まだ、呼吸が苦しそうだ。

 クワトロは自分のモノが反応しはじめていることに気づいていた。現実のカミーユと交わした"くちづけ"に、確かに欲情している自分・・・この部屋に入った時は、幾分かの躊躇を残していたが、それも吹き飛ぶ。

 (こうしなければ、私はあの幻影にずっと悩まされる・・・)


 「おとなしくしてくれ。乱暴はしたくない」

 「・・・・・・」 ドクン、ドクン、ドクン

 カミーユは無言だが、今度は平手打ちも逃げ出すことも、しなかった。


 女に接するのと同じ手順しか知らない。

 すでに脚の間が痛いほどに勃起していた。クワトロは締めつけている制服と下着を脱ぎ捨てると、カミーユの視線に全てを晒した。















 カミーユの顔にキスの雨を降らせる。唇に額に瞼、耳・・・さっきの奪うようなキスとは違い、やさしく唇が這っている。

 「あ・・・ああ・・・」 ドクン、ドクン、ドクン、ドクン

 カミーユの吐く息がみぞおちを殴られた衝撃とは別の理由で荒くなってきた。


 くちづけを続けるクワトロの右手がそっとアンダーシャツの下に伸ばされた。女の肌と違いがないような滑らかな感触が伝わる。ゆっくりと胸のあたりを撫で、右の乳首を捕らえた。くるりと円を描くように刺激する。


 「んんっ!」 た、大尉・・・

 他人に触れられることに全く慣れていない少年は、それだけでうわずった声を上げた。


 「あああ!!」 ク、ワ、トロ大尉・・・イイ・・・

 シャツをさらに上にずらすと、唇で乳首をはさんだ。歯で軽くきりりと噛むと、カミーユは、はっきりそうと判るほど喘いだ。


 手を下げてブリーフの上からカミーユのモノに触れてみる。柔らかい感触だったが、そのまま撫で回していると、いくらか硬くなったようだ。

 さらに触り続けていると、間違いなく硬度を得てブリーフの布を持ち上げている。それを見たクワトロは何故か安心して下着を取り払った。


 カミーユの中心にあるのは、確かに男のモノだ。違うのは遊び慣れた自分に比べて、初々しいピンク色をしていることだ。それでも先端が盛り上がって子供ではないと判る。


 あらためて見ると、少女とはやはり違う、たしかに腰はがっしりとしているし、筋肉もついている。だが自分はそんな少年の中に”自分自身”を埋めてしまいたいと思っている・・・


 相手が女なら次にするのは、

 「あああ!! はっ・・・!!」 ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン

 一瞬の抵抗感が心に湧きあがったが、そのまま頭を下げると、カミーユの男根を口に含んだ。判らないなりに優しく舌を使って舐めまわす。


 「んんんん、はぁはぁはぁ」 あぁ、そんな・・・トコロ

 シーツを握り締めて腰を浮かせるカミーユは、かなり感じているとしか思えない。

 (こんな、ものなのか)

 クワトロは、いつも女に舐めさせているものを舐めている自分、どこかで冷静にそれを味わっている自分がおかしくもある。


 ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン


 「だめ・・・です。大尉、も、もう」 イキそう・・・

 まだ、刺激が強すぎたのだろう、あっというまにクワトロの口の動きに屈服した。


 ドクン、ドクン、ドクン

 「ん?」

 激しい心臓の鼓動が頭の中に響いていることに、クワトロはふと気づいた。さっきから聞こえていたのだが、自分の心臓の音だと思っていた。だが、どうやら違うようだ。音が二重に鳴り響いている。


 「は、あああ!!!」 いやぁ・・・デ、デル! ドクン、ドクン、ドクン

 カミーユは自ら腰を動かして、大尉の口の中へ放出した。ドロリとした液体が口の端から漏れる。おいしいものではないのに不思議な興奮がクワトロを包む。


 (うわっ!! なんだこれは・・・)

 まるで、自分の方が達してしまったような感覚、腰の辺りが熱くなって力が抜けそうになる。


 ああぁ、大尉・・・ドクン、ドクン、ドクン

 (これは・・・・・・カミーユの心臓の音・・・か?)


 カミーユの心臓に手を当ててはいない。しかし、なぜか、それが判る。そしてかすかなカミーユの想い・・・


 目の前に横たわるカミーユの目はどこか遠くを見ている。


 ぐったりとしたカミーユを見て、少しだけ罪悪感を感じたが、クワトロの興奮は続いていた。早くカミーユの中へ入れないと、その前に爆発してしまいそうなほど。















 (まだ、終わるわけにはいかん。ここで止めれば、何も変わらんだろう・・・)

 クワトロにとってもカミーユにとっても未知の領域へと進んでいく。


 カミーユの局部の周りはクワトロの唾液とカミーユ自身の精液とで濡れていた。長い指でそれを後ろの入口へやさしく摺り込んだ。この少年を痛めつけたいわけではないのだ。


 「あああ、あああっ」 大尉、僕を、僕を・・・

 (うおぉ・・・)

 思い切って、人差し指を埋めてみる。そこは女と比べて湿り気は少ないが、暖かい。指の先があたる部分は意外と緩やかだが、入口の締め付けは、なかなかきついものだった。


 「あ・・・あああ・・・」 クワトロ・・・大尉、早く、僕の、中、に

 (うっ! いかん)

 その指を動かすごとにカミーユが喘ぐ。そしてそのカミーユの喘ぎの度、自分も内部を触られているような感触に身体が震えた。


 「これは・・・何だ」

 それは・・・・・・不思議な快感、同情、協調、ハーモニー、リズム、共感


 (これでは、目的を達する前にイッてしまいそうだ)

 クワトロは最後の段階へ移ることを決めた。


 指を抜くとカミーユと向き合う形で身体を組み敷いた。どんな狭い入口でも貫けそうなほど硬くなっている熱い塊を押しつける。もはや気遣うどころではない。クワトロは自分の望むまま、カミーユの中に挿入した。


 「い、い、いや、痛っ!!」 イ、タ、イ・・・でも

 カミーユの体に緊張が走った。狭い入口がさらにぎゅーっと締め付けたが、構うことなく腰を進める。


 「あああっ、こん、な・・・」 入ってる、大尉のモノが

 「うぉ!!!」

 身長180cmあまりのクワトロのモノは、それに相応しい大きさだ。カミーユは激痛を堪えて受け入れている。とうとう、一番奥まで貫き通された。



 「はあ、はあ、はあ・・・」 僕の中は、クワトロ大尉で、いっぱい、いっぱい、いっぱい・・・

 「カ、カミーユ・・・」(この感触は、たまらん・・・うぅ、何だ? どこかで痛みが)

 クワトロは動きを止めて、カミーユを見る。微かに眉間にしわを寄せて目をきつく閉じている。痛みを必死に我慢している表情だ。


 「あっ」 モット・・・

 ビクンッとクワトロの男根が震えた。カミーユの内部はそれを感じ取り、身体が跳ねる。動かなくてもこのままで達してしまいそうだ。もう、持ちそうにない。カミーユの痛みを無視して、より強く腰を動かし始めた。


 カミーユの未熟な肉を串刺しにする。その度、クワトロの塊の熱が増し、さらにカミーユの中も熱くなる。クワトロの背中に回されたカミーユの手が必死ですがりつく。


 「ああああ!」 気持ちイイ・・・こんな

 「うううう、くっ!」(カミーユ、お前も・・・)

 感じているのはクワトロだけではない。カミーユのモノも再び反応していた。再び力を得て反り返ったソレが大尉の腰の動きに合わせて、腹の上でゆらゆらと揺れている。それに気づいたクワトロが片手で自分の体重を支えながら、空いた右手で握りしめて擦った。


 「あっ、だ、だめ・・・また、もう」 気持イイ、イイ、イイ

 「くっ、くっ、くっ、私も・・・」(いいんだな・・・・・・うわ!)


 今やクワトロも判っていた

 (カミーユの感じているものを私も感じている)


 それは疑いようのない−−−確信。

 (そして私が感じているものをカミーユも・・・)

 そんな思いすらもわかっているのように、なぜか目を開けたカミーユがニコリと笑った。


 カミーユを抱いて得る快楽×

 カミーユが感じている鈍い痛み×

 そのカミーユが痛みを超えて感じるクワトロに抱かれた喜び×



 交差する感情が複雑な曲線となって、クワトロがこれまで経験してきたすべてのセックスは一体なんだったのかと思わせるほどの快感を与える。


 (身体を繋げるだけが、人の営みではない)

 (心を解放すれば、こんな気持ちにもなれるのか)

 (ララァでさえ私に与えてくれなかった)

 
 本当の共感とは・・・あああ


 このセックスで得ている快感だけではない。人と人とが真に繋がりあえば得られるはずのものの一端を、ニュータイプの成り損ないとまで言われたクワトロが初めて実感した瞬間だった。



 「あっ・・・ああっ!!!」 大尉!!

 「くっ! ううぅ!!」(カミーユ!!)

 クワトロがカミーユの中に白濁した液体を流し込んだのと、そのクワトロの手に包まれカミーユが自分の腹の上に同じく白い液体をまき散らしたのは、ほぼ同時だった。


 大尉が気持ちいいなら、僕も気持ちいい・・・


 汗の粒が流れる上気した筋肉質の身体がカミーユの上に倒れこむ。いつもよりぐったりとしてクワトロは動く気力もない。重たいはずなのにカミーユがゆっくりとクワトロを抱きしめる。


 大尉が好き、好き、好き・・・


 僕の中で、安らいで・・・



 もう不思議に思うことはない。優しい気持ちがこの少年から伝わってくる。こんな形でニュータイプの共感を得るとは思わなかったが、今はただこの柔らかさに浸っていたい・・・


 戦いの中でこんなにも、もがき苦しんでいる少年が与えてくれたもの。

 クワトロは満たされた身体をようやくカミーユから離すと、その腕にカミーユを抱いて目を閉じた。















 「僕が大尉のことを好きだって、いつ気づいたんですか?」

 「いや、まあな・・・」

 面と向かってそう訊かれると、戸惑うしかない。


 初めての行為の後、時間が許す限り二人は抱き合っていた。


 行為そのものが目的ではない。その間に交わされるあの共感をもう一度味わいたくて、どちらからともなく誘い合ってしまうのだ。


 「僕は・・・そう、僕のことをパイロットとして認めてくれた日からかな。いや、初めてあった日から惹かれていたのかも・・・」

 そう言って、カミーユは笑う。


 クワトロも同じかもしれない。顔を合わせる前から、最初にグリーン・ノアでカミーユを感じた時から、アムロともララァとも思えたあの瞬間から、誰よりも引き合っていたのだ。


 「この戦争が終わったら・・・僕たちどうなるんでしょう」

 「そ、そうだな・・・」

 その後の言葉が続かない。


 「終わってからのことですね」

 何も聞きたくなかったのか、一人で納得するとカミーユはクワトロの男根に舌を伸ばした。今も二人は裸のままでクワトロのベッドにいるのだ。


 「お、おい・・・う・・・」

 それは初めて見た幻、そのままの光景。


 「・・・カミーユ、もしかして私のことを考えながら、一人で慰めたりしてたのか」

 「え・・・そう、ですけど、いいでしょ、別に」

 赤くなりながら、カミーユが答える。


 (強すぎるニュータイプ能力が自分の心に影響したのか)

 自分で自分をイカせていた頃のことを思い出すと、バカみたいだ。が、ふと心配になる。


 (カミーユのこの力は・・・)

 「大丈夫ですよ。僕だって、いつかは大人になります」

 クワトロの心を読んだように答えた。


 「あなたのために、大人をやってみせたっていいんだ」

 その舌使いにいつのまにか膨張しているクワトロの逞しいモノの上に、ゆっくりと自ら腰を降ろしていく。


 あああ・・・ね、大尉・・・


 (うう、カミーユの心に巻き込まれる・・・今、離れなければ、離れる機会はもうないかもしれない・・・な)


 判りながらも離れられないクワトロは、またもや快楽の渦に引き込まれていった。















+ END +










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うわー超H、ひたすらH、最後までH・・・なのにニュータイプ論を絡めたりして怒られそう・・・クワトロの一人H・・・怖すぎる。

読んでいただければわかると思いますが、私のクワトロとカミーユはカミーユの方が精神的に優位に立ってます。
だって、カミーユのほうがニュータイプ能力が上だから(笑)

身体の組み合わせはもちろんクワトロが攻めなんだけど、カミーユにいいようにあしらわれてます。
やっぱり、カミーユに殴られて涙を流したのがいけなかったのでしょう。

管理人@がとーらぶ











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