キリマンジャロの夜















 (ヒューヒュー・・・ガタガタガタ・・・)

 強い風が吹きつけ、その度に軍用で丈夫とはいえ、ただのテントにすぎない仮設基地が揺れ続けている。

 「寒いな・・・」

 ボアのついた襟を立てながら、アムロ・レイは呟いた。



 宇宙世紀0087年11月2日、カラバの主導で始まったキリマンジャロ山中のティターンズ基地への攻撃は、予想したようには戦果を得ることができなかった。日中に開始された攻撃は中断され、先程までシャア・アズナブルとアムロ、そしてカミーユ・ビダンらが今後の予定を話し合っていたのだ。


 シャアは再攻撃を主張するアムロたちカラバのメンバーの意見には反対の様子で、

 「しばらく考えさせて欲しい」

 というシャアの言葉を機に、話し合いは中止となって、皆それぞれのテントへと引き揚げた。

 シャアはカミーユと同じテントに戻っているはずである。


 (シャアとこんな形で再会するとは・・・)


 そう、このキリマンジャロ攻撃にエゥーゴのメンバーであるシャアとカミーユは、本来なら宇宙からの支援のみのはずだった。だが敵の攻撃により、大気圏への突入を余儀なくされた百式を救うために、追いかけてきたカミーユのZガンダム共々、予定外にも地球に降りるはめになったのだ。


 (今は、まだ会いたくなかったのに・・・)

 そう思うのは、北米上空のアウドムラの中でのある事件がアムロの中に深く刻み込まれているからである。それは・・・


 「ん・・・?」

 ばさっと音がしてテントの入口が開いた。

 「アムロ」

 そこから姿を現したのは、今はクワトロ・バジーナを名乗っているシャア・アズナブル、その人だった。


 金髪に雪をのせて、気温差のせいか白い肌がほんのり桃色に染まっている様子は男から見てもドキッとする美しさを感じさせる。

 「決心がついたのか?」

 そう言うアムロに、黙ったままシャアが近づいてくる。


 「シャ、シャア・・・」

 アムロの身体に何故か緊張が走った。だがその場から体を引こうとするアムロより素早く、シャアの両腕が小柄なアムロを抱きしめると、唇を重ね合わせた。


 「んん・・・ん・・・」

 ためらうことなくその舌が侵入してくる。

 (なぜ、こんなに熱いのだろう・・・)

 クールな言動のシャアとは裏腹の動きをする熱い舌に、一瞬アムロはそんなことを考えてから、ようやくシャアの胸を押し返した。


 「やめろ!」

 「・・・ふっ」

 サングラスをかけたままのシャアの表情は読みとれない。


 「なぜ、こんなことを」

 「わからないか、アムロ」

 「・・・・・・」

 シャアの口調には真面目な返答しか許されない雰囲気が漂って、アムロは何も言えなくなる。そんなアムロの様子に肯定の意味を感じたのか、シャアがもう一度その腕に抱きしめようとした。


 「一度・・・だけだと言ったはずだ・・・」

 「そうだな、だが、君の態度がいけないのだ」

 「何を!!」

 すっぽりとシャアの腕に包まれたまま、アムロが顔を上げてシャアを見る。


 「あなたには感謝して・・・いる。あんなことがなければ、今も僕はモビルスーツに乗っていないかもしれない。でも・・・」

 「私が抱いたから、君は自分を取り戻した。それでいいではないか。そして私は君に宇宙へ上がって欲しいと思っている。」

 シャアの薄い唇からそんな言葉が発せられる。耳にこの上もなくやさしく響くのは気のせいだろうか・・・


 「・・・そのために、また来たというのか、だったら必要ない!」

 「では、抱きたいから抱くというのではどうだ」

 「ん・・・やめろ・・・んん」


 もう一度、強引にアムロの唇に襲いかかった。シャアの方が一回り身体が大きく、力も強い。簡易ベッドの上に倒れ込みながら、易々とアムロの身体を組み敷く。


 「やめて、くれ・・・」

 蠢く舌がアムロの口中を蹂躙していく。息が続く限りはとばかりに、唇を離さない。

 アムロの頭の中に、初めて、そしてたった一度だけ抱かれた時の記憶が甦った。

 初めて経験した熱さと痛みと快楽の記憶・・・あの時、途中で抵抗を止めてしまった記憶・・・それらが、実感を伴って甦り、今ここですべき抵抗を弱めてしまう。


 「だめだ・・・」

 服の上からシャアの大きな手が身体を弄っている。アムロの抵抗を意味する声はだんだんと小さくなった。


 「放っておいてくれ・・・」

 息を荒げながらそう言ったアムロに

 「だが、君はまだ・・・いや黙ってろ!」

 何か言いたいことがあったのかもしれない。が、シャアはこの場ではただこの行為を完遂することに決めたようだった。















 アムロのスラックスに手をかけると、あっという間にその中に隠れていたモノを取り出す。

 「あ、あ・・・ああ!」

 いきなりシャアの湿った口がそれを含み、柔らかな感触に思わず声が上がった。

 「ああ・・・」

 仮借なく、堅く結んだ唇と滑らかな舌の動きで襲ってくる。


 「やめ、てくれ・・・」

 だが、アムロのモノは明らかに反応を始めていた。みるみるシャアの口の中を圧迫するほど大きくなる。

 (にやり)とシャアが笑ったように見えた。屈辱的な思いにアムロの顔が思わず赤くなる。だが抵抗する気力はすでに失っていた。


 「ううう!」

 シャアは一瞬の緩みもないほど唇で挟み込み、擦り続けている。放出するまで許さないつもりのようだった。


 「もう・・・出、出る・・・」

 だがシャアはお構いなしに動き続けた。とうとうアムロの先端からほとばしり出たものを、当然のようにゴクリと飲み込むと、手の甲で口の端を拭う。


 力が抜けたように動かないアムロが、横たわったままシャアを見上げていると、ゆっくりとサングラスを外す様が見えた。その下からはきれいな青い瞳が現れ、まっすぐにアムロを見つめている。何故かアムロの方が恥ずかしくなって視線をそらした。


 クワトロは無言で自分の制服に手をかけた。じーっという音と共に、ジッパーが降ろされると、中から高々と隆起したモノが取り出された。


 一度だけ、受けいれたことのあるモノ・・・だがこうして目の前にかかげられると、アムロはどうしたらいいのかと混乱してしまう。


 (どうして僕は・・・こんなことをしているのか)

 だが、その答えはまだ得られそうになかった。


 「後ろを向くんだ」

 シャアの言葉におずおずと四つん這いの態勢をとる。


 「開け」

 「え・・・」

 一瞬、何のことか分からなかったが、

 「自分で開くんだ」

 シャアがこれから入れるべき部分のことを言っているのだとようやく理解する。だが、ためらってすぐには動けない。


 「アウドムラでのことを、覚えているだろう。一緒に、達きたくはないのか」

 その一言で、今ここで体験しているかのようにアウドムラでのことが心に浮かんでくる。

 シャアに抱かれて達してしまった自分、嫌悪感はなく、ただ心が解放されるかのような感じを味わった。


 カツに引っ張られるように、シャイアンを脱出してアウドムラにたどりついたものの、MSに乗る勇気さえなかった自分・・・だが、あの時クワトロに抱かれることで、昔の自分をいくらか取り戻したのだ。そして今、MSに乗りカラバのメンバーとして戦っている・・・


 (あの時どうして、そうなってしまったのか)

 シャアが宇宙に還ってから、何度も考えてみたが、わからなかった。今もわかってはいない。

 今感じていることは、ただ・・・


 (もう一度、あの感覚を・・・)

 アムロは手を後ろに回して、中心にある穴をクワトロの眼前に晒した。堅くとがったシャアのモノが近づいていく。先端が当たる感触に思わず緊張してしまうが、閉ざされたそこに、めり込むように大きなものが侵入してきた。


 「うわぁああ!」

 小さな叫びがアムロの口から漏れた。シーツを握り締めて、痛みを堪えている。


 (まるで、ヘビに睨まれたカエルだ、な・・・)

 遠慮なく身体の中を突き刺す熱い杭を、なぜ逃げずに受け入れているのか、やはりわからない。わからないが・・・もうすぐ考えることもできなくなるとアムロはわかっていた。


 「あ、はぁはぁはぁ・・・」

 自分の中で暴れている。シャアが暴れている。その熱い塊が内部を抉り、考える力を無くさせていく。

 シャアを愛しているのかと聞かれれば、即座にノーと答えるだろう。

 だがこの身体の繋がりは、今までに得たどんなものより、はるかに高い何処かへと自分を連れていく。


 シャイアンに幽閉されている時、何人となく名前すら知らぬ女を抱いたりしたが、そのどれとも違っている。


 しいて近いものを考えるなら、あの一年戦争の折、ア・バオア・クーでシャアと戦った時に感じた一瞬の魂の触れあいが一番似ているかもしれない。もちろんあの時何ら性的なものを感じた訳ではないが、それに似た何かをこんな形で再現しているような気がした。

 だが・・・・・・


 「ああああああ・・・」

 もう、感情の分析はできそうになかった。再び、アムロのモノも硬度を得て、シャアの動きに答えている。恋人同士が抱き合うわけではない。初めての時も今も必要な部分以外、服さえ脱いでいない。そんな関係なのに、二人で昇りつめるまで、もうそう時間はいらない・・・



 「うわあ・・・・・・!」

 「く・・うううぅ!」

 頂点に達したシャアが熱いものでアムロの身体の中を満たし、それを受けたアムロも再び達する。


 「はぁはぁはぁ・・・」

 「は、は、は、・・・・・・」

 ただ二人の荒い息だけが寒いテントの中で白い煙と化す。


 身体を離したシャアに何故かアムロは自分からキスを返していた。



 「再攻撃をかけるぞ、すぐに準備だ」

 乱れた服を整えながら、それだけを言ってシャアが去っていく。


 火照った体をベッドに横たえて、見送るアムロの眼は前より澄んでいる様に見えた。



 だが、アムロが宇宙にあがるには今少しの時間を必要とした・・・・・・















+ END +










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+-+ ウラの話 +-+



このお話は、『555Hit リクエスト』として 剱尚人 さまにささげます。
いらないって言われたらどうしよう(汗)。

Zの「キリマンジャロの嵐」を見ていたら、
シャアとアムロの「どうしてあなたまで降りてきたんだ」「カミーユならいいのか」
という会話に妄想モードが爆発(笑)して書いた話です。

いつか二人のファーストタイム「アウドムラ編」も書きたいなぁ。

管理人@がとーらぶ



・・・・・・・・・ところで、シャアザクってこんな色?(><)。











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