一年の計は元旦に・・・?
お正月一日(ついたち)の昼間っからコタツに下半身を突っ込んで、くだらないテレビをぼーっと見るというのは、まさにお正月ならではの特権だとコウは思っていたのだが、ガトーには気にくわなかったらしい。・・・なぜだかさっきからブツブツ言っている。貴様はだらしないとか、休みだからといってもっとしゃきっとしろとか。・・・なんだよ。いいじゃないか。せっかくの正月なんだし。コウはそんなガトーを無視して、申し訳程度に上半身を動かしてコタツの上に載っていたミカン盛りの籠からミカンを一個とってまた寝転ぶと、ミカンの皮をむきはじめた。
「なんたることだ!貴様、それでも日本男児か!!」
「あひゃっ!」
声量のあるガトーの声でそう怒鳴られると、聞きなれた声ではあっても一瞬どきりとする。仰向けになってガトーを見ると、わぁ、逆さまのガトーだ。なんか迫力あるなぁ。・・・あっ、カモイに頭がぎりぎり。・・・・・・・・・なんて思いながらも、コウは負けてない。
「もう、なんだよー。少しぐらいだらだらしたっていいじゃないか!俺、昨日の10時まで働いてたんだぜ。紅白歌合戦だって、スマップしか見れなかったし。」
「それを言うなら、そもそもそんな年末ギリギリまで働くことになったのも、貴様の要領が悪いせいだろうが。私なんぞ、こうして12月27日から1月4日までばっちり九連休を取ってある。」
「うー!!!」
「日本では『一年の計は元旦にあり』という格言があるではないか。今日の貴様の姿を見れば、今年一年もどうなるかわかったようなものだ。」
「くっそー!こうなったら勝負だ!ガトー!」
がばっと跳ね起きると、コウの後頭部で黒髪が一掴みピンと立っていた。その寝癖が愛らしく、なのに勝負なんて言葉を吐く。
「は?」
「一年の計は元旦にあり、なんだろう?俺が勝って、絶対勝って、今年一年勝ち続けてやる!!!」
「くす。」
思わずガトーは鼻で笑ってしまった。コウのこの単純っぷりはどこからきたのだろうか。・・・いやそういうことも含めて惚れてしまっているのだろうが。・・・だが今日は絶対そんなことは言わない。・・・なにしろ一年の計は(以下同文)。
「よし、受けてたってやろう。・・・勝負は、どちらが先にイクかでいいな?」
「ちょっと待てーーーっ?!」
・・・と、コウが叫んだ時には遅かった。コタツのせいでひどく狭くなっている空間の残りに押し倒されると、それだけで身動きが取れないように思われ、不利な状況を逆転できないかのように考えてしまう。
「勝負だよ、勝負。こんなんじゃなくて・・・、」
「こんなんじゃなくて?」
「んっ。」
ガトーの体温と体重と息を感じながらくちづけされると、なんだかこんな勝負でいいかという気分になってしまった。
寝転んだコウの胸がパジャマの内側で筋肉を主張している。ガトーに比べれば、ずいぶんスマートに見えるかもしれないが、これでもそこらへんの男よりは鍛えている。その胸に頬をつけて、ガトーは『攻め方』を考えていた。なにしろ、勝負、であるからには負けるわけにはいかない。
(負ける気もしないが・・・な。)
ここらへんがガトーらしいところである。
(じっくり攻めるか。)
意外と貪欲なコウを満足させるために、いつもなら軽くジャブ程度に攻めて、お互い出しあってから、二回戦で技量をつくすことが多い。が、幸いにも昨夜、コウと一戦交えていたのである。・・・・・・・・・そうたった半日ほど前に、疲れて帰ってきたコウを、『仕事納め』とばかりに、たっぷりと可愛がったのだ。早々に爆発することもない。・・・落ちついて攻められるというわけだ。
ガトーがコウの上に乗ったまま、グレーのセーターを脱ぎ去ると、下からコウの手が伸びて、ガトーの髪をまとめているヒモを解いた。コウはその方が好きらしいのだが、そう言われると極力そんなことはしてやらないガトーである。セックスの時だけが、ガトーのさらさらの銀の髪にゆっくり触れるチャンスがある。コウがすっかりやる気になっていることがわかる。
わざと唇の端に笑みを浮かべると、ガトーはコウのパジャマを脱がしにかかった。ずるずると脚にそって下げる。むき出しのたくましい太腿が、膝が、脛が現れていく。最後に足の指を抜くと、ガトーはその右の親指を口に含んだ。
「くっ・・・くすぐったいよ。」
笑うコウにかまわず、ガトーは丁寧に舌で舐める。清潔な指はほのかに汗の味とコウの甘い匂いがした。五本の指を万遍なく舐めるとガトーは舌を移動させた。脚の内側の部分を下からゆっくりと舐め上げていく。後にはナメクジが通ったような濡れて光る跡がつく。
「あ、あ。」
やがてガトーの舌がコウの内腿の付け根まで届くと、コウは色気を含んだ声を漏らした。唇はコウの急所に触れることなく付け根を何度も往復する。舌の感触だけでなく、ガトーの鼻先や熱い息が微妙な部分に伝わる。
(やばっ!次、来られたら、俺・・・、)
・・・だが、コウの期待と恐れを裏切って、ガトーはコウのモノに唇を付けずに顔を上げると、そのまま身体を伸ばし、唇へと近づけた。・・・二人の唇が合わさる。深いキス。
「ん・・・ん。」
ガトーの舌がコウの唇を割って入り込む。コウの舌は跳ね回って捕らえるのが難しい。追って追ってやっと捕らえると、絡ませた舌を伝ってガトーは唾液を垂らした。
ごくっ。・・・唾液を流し込む行為に、二人はこれから先のことを思い、燃えていく。ベタベタでぐちゃぐちゃでとろけあうようなセックス。体液を飛ばして、混ぜあって、ひとつになるようなセックス。・・・コウはためらわずにガトーの唾液を飲み込むと、同じように湿ったキスを返した。
コウの唇や首筋に舌の愛撫を続けながら、ガトーはコウの服を剥ぎ取っていく。トランクス一枚になる頃には、部屋にこもる熱気が寒さを感じさせないほどになっていた。
「ずるい。」
そう言うと、コウはガトーの服に手をかけた。ガトーも自ら手を貸す。コタツの向こう側に、シャツとズボンが弧を描いて投げ出された。コウとお揃いのトランクスだけになると、ガトーの筋肉質の身体がよりたくましく見える。トランクスの真ん中が盛り上がって確かな男の存在感を示している。
ガトーもコウもこれまで何度も互いの身体を見てきたが、眺め合う行為は、相手の身体がもたらすはずの喜びを思い起こさせる。どきどきする。欲しくなる。だが口では言わない。
「あ・・・あぁぁ・・・。」
ガトーはコウの腕をつかんで自由に自分への愛撫を出来なくさせておき、唇のみでコウの身体を刺激した。舌は首筋を這い、徐々に胸へと移動して、その先端のやや濃いピンクの乳首に達すると、さっと舐めた。乳輪を円を描くように舐め回したり、その刺激につんと尖った乳首に軽く噛みつく。
「卑・・・怯・・・んんっ!」
ほとんど動けないコウは身体をぴくりとさせると、まるでその瞳で愛撫するかのように、黒目でじっとガトーを見つめた。だいぶ息が荒くなり、胸の上で自在に踊っている男の舌にかなり感じているようだ。
「あぁーーーっ!」
ガトーは不意にコウの胸に強く吸いついた。健康そうな肌に赤い印がいくつも付いていく。ガトーはコウのしみひとつ無い東洋人らしい肌を見ると、どうしても自分が蹂躙した跡を付けたくなる。不思議と、このキスマークは翌朝には消えているのだが。・・・だからこそこうも付けたくなるのか。・・・コウの身体には、花が散ったようにいくつもいくつも赤い跡が印されていった。
「ん?!・・・犬みてー!・・・んんっ!」
その叫びは、ガトーが身体をずらして、コウの股間に顔をうずめ、鼻をトランクスごしに強く押しつけたせいだ。二度三度と首を振って鼻で若木のような硬い感触を味わう。よけいコウのモノが硬くなっていく。
「・・・くそっ・・・やめろよ。」
コウの頭の中に勝負の意味は消えずにあるのだろうか。しかしもどかしくなる。ガトーは器用にもその歯でコウのトランクスを脱がしにかかった。すっかり起ち上がっている頂点を上手に越えて脚からするりと抜けていく。反り返った身はもう先端が濡れていて、このままでは負けてしまいそうだ。だがしかし、コウもいたずらっ子のような表情を浮かべて、足の指先をガトーのトランクスにかけた。ひっかかりつつ下に降ろしていく。ガトーのモノも見事に勃っていた。
全裸で寝転ぶコウとその足元に膝で立つ全裸のガトー。向い合った二人のそれぞれに美しい肢体は、絵画のようでもあった。だがガトーとコウは互いに見惚れるというより、ただのオスとオスとして獲物を見つめていた。コウの全身は上気し、小さく硬い乳首が赤く膨れ、黒い茂みが揺れている。その茂みからそそり立つたくましい根。一方、ガトーの全身には力がみなぎり、無駄のない筋肉はいっそう引き締まって見えた。脚の付け根から隆々と勃起した男根が震えながら獲物を狙っている。
先に動いたのは、ガトーだった。コウの両足を腕で抱え込むようにして、膝を開かせると、むき出しの先端に顔を近づけていく。茂みに近い方は太く、血管が幾筋も盛りあがっていて、ぬるりとした先の部分はピンク色に近く、何度もガトーに愛されながら汚れを知らぬようだ。
「あああーーーっ!」
ガトーはかぶりつくように、その固まりに口を付けた。舌をいっぱいに使って、下部から先端の敏感な尖りまで、くり返しくり返し舐め上げる。
「い・・・!」
ガトーの舌が先端を集中的に舐めはじめると、コウはたまらなくなって大きく喘いだ。頬をすぼめてのどの奥に吸い込むようにしながら、一番敏感な部分をちろちろと舐め回す。コウはコタツ敷きを指先で掴んで、筋肉をフルに使って背中をのけぞらせながら、ガトーの攻撃になんとか耐えようとする。
「や・・・!!」
痺れるような快感がそこからピリリと走っていく。ガトーはしつこいぐらいに舐めている。不意に歯で噛みつかれると、歯止めが効かないほどに身体が震え、口から熱い吐息を漏らす。いやいやをするように顔を横に振りながらも、コウの手はガトーの頭を押さえて、そこから逃がさない。まだまだガトーに愛されたかった。コウをいかせるために、ガトーの舌がさらなる攻撃を開始する。コウの脚が胸につくほど曲げられ、最終目標をガトーの目が視姦する。窮屈な姿勢に思えるが、辛そうな表情は浮かべていない。意外にコウの身体は柔らかいのだ。猫科の動物みたいに。
「あっ!ああっ!」
後ろの穴がぺろりと舐められた。入口から玉の突き出たところまでつつーと舌を這わせる。何度か往復する。気持ちよさとくすぐったさの混ざったような感覚に酔ってしまう。
「ふぅっ・・・!」
意地悪な舌の次の狙いは、穴から放射状に広がる皺に向けられた。皺の流れにそって舌先で丁寧につつく。しっかりと濡らし、それから中心に舌を差しこむ。・・・するとコウの脚が暴れて、ガトーの脇腹を蹴った。コウの先端はもう透明な液でぬるぬるになっている。そうか・・・早くくれと言ってるのか。ガトーはコウの姿に満足気に身体を起こすと、腰をぐいと出し、目標に近づけた。突き出たその部分は見惚れるほどに怒張し、猛り狂っていた。自分の舌でたっぷりと濡らしてやった淵にゆっくりと当てると、ガトーは深く息を吸った。
「あああぁぁぁっ!!!!!!」
ガトーの男根がずんっと押し込まれた。やっと挿入されたその熱い感触にコウは歓喜の声をあげる。軽い抵抗を受けながら、ずぶずぶと内壁に吸い込まれていく。それはどこまでも男を飲み込む深い穴のようで、身を委ねいつまでも溺れていたくなるような心地よさがある。ガトーの長さにぴったりと合っている。
「動けよ。・・・こら!」
こんな暴言。女からは聞けないだろうな・・・などと思いながら、ガトーはそれでもコウをじらした。浅めにゆっくりと動き、それから段々に繋がりを深くしていく。
「負けてもいいのか?」
余裕のあるフリをしてガトーはふざけた。案外そうでもない事は、全身に浮かぶ汗と食いしばった口元を見ればわかるが、ガトーはなんとか意識をそらしつつコウを攻める。・・・けっこうコウはコワイのだ。下腹部に力を入れると、それはそれは締め付けられてしまうし、ぶるぶる震えるようにも動かせる。だが意地でも先に達するつもりはない。
「イ・・・ヤ・・・だあああぁぁぁ・・・!」
ガトーの頑張りが効いたのか、コウがようやく満たされた叫びをあげはじめた。入口から奥まで力任せに腰全体で打ちつける。熱い男根が好きなように暴れてもギリギリのところで二人は離れない。それはコウがタイミングよく下から腰を突き上げ、締めつける筋肉がガトーをけして逃がさないからだった。
「や・・・や・・・んんんっ!!」
硬くて柔らかくて熱い内壁との摩擦感を味わいながら、ガトーはもてる力を振り絞って男根を往復させる。繋がった部分からはガトーの唾液とガトーの先走りが交じり合って、ぐしょぐしょと音が響いた。溢れ出たそれは、襞の間に滲んでいく。
「・・・やべぇ。きそう!」
コウが叫んだ。すかさずガトーは最奥を狙って腰を突き出す。膨れ上がった男根はさらに大きな熱い棒と化していて、難なく奥まで届く。コウは最後まで貪欲に快楽を吸収しようと、太腿でガトーの腰を挟み込んだ。ガトーの熱にうながされて、内壁が収縮する。その動きにいっそうガトーも熱くなる。
「負けたくねーっ!!」
コウの声にガトーは限界点を目指してずんっと深く刺し込む。へたすると負けそうなほどに爆発したがってはいる。・・・堪えろ!
「く・・・そっ・・・。いけ・・・よ!!!」
悔しそうに叫びながら、ガトーの腹をめがけて白い液体を飛ばす。・・・コウがいったのだ。二度三度と腰を揺らして吐き出す。二人の鍛えた腹筋の間に、ねばねばした糸が垂れる。その動きにいよいよガトーも限界を迎える。・・・安心してガトーも放出できる。
「うおぉっ!!」
大きく突き刺すと、そのままコウの上に倒れて、腰だけを何度か動かした。熱い中にさらに熱い液体の流れる感触がコウの余韻を大きくする。有り余った精液が繋がったままの淵からじわりと湧いて出る。
「あぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
「はっ・・・はっ・・・。」
ガトーはコウの胸に顔を寄せ、大きく息を整える。コウも荒い息を抑えながら、自分にすがってでもいるような大きな男の髪を優しく撫でる。まだ萎えないモノをコウの中から引き抜く。そのずるりとする感触に二人ともぶると震えた。
「私の勝ちだな。」
ガトーは先に身を起こすと、コウの腕を引っ張ってその勢いで抱きしめた。残り火に身を委ねたままのコウが無性に愛しくなる。コウを胸に抱いたまま手を伸ばして、コタツの上の煙草を手に取って火を点ける。
「ふー。」
コウとヤッた後の煙草は、寝起きの一服と同じくらいにウマイ。いつもならコウは身体に悪いだの、家が煙草臭くなるだの、やたら禁煙をすすめてくる。しかしこの時だけは、さすがにコウの口もふさがったままだ。ガトーは煙をくゆらせながらコウの顔を見つめ、けだるい時間を過ごそうとしていた。
・・・が、
「ずるい。今度は俺の番。」
腕の中のコウがそう言って、ガトーの胸に身体全体を押しつけて、のしかかった。コウの中で暴れたモノに顔を近づけ、手でそれを握り、そっと揉み始める。どうやらまだ勝負をあきらめていないらしい。先手必勝というわけか。
「構わんが、今度も私が勝つぞ。」
そう応じるガトーは、楽しそうに笑っている。
・・・・・・・・・なんだか今年もいい一年になりそうだ。・・・そう思ったのは、ガトーかコウか。
元旦の真夜中まで勝負は続く(・・・たぶん)。
+ END +
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2004年の元旦チャットのお年玉だったんですが、再アップしてみました。
うちでは星の屑が正月なので(笑)。
管理人@がとーらぶ(2005.11.14)
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